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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/06/05

5/31 TICAD V 前夜祭イベント


 5月31日に横浜市開港記念会館で行われたTICADの関連イベントに参加しました。アフリカ日本協議会の主催で、世界のHIV/AIDSの現状やアフリカの市民社会の動きなどが報告されました。この中で、登壇した関係者が異口同音に強調されていたことは、「HIV/AIDSの問題はまだ終わっていない」ということ。今も毎年170万人がHIV/AIDSが原因で亡くなり、これまでの累計で3000万人に達しています。現在の感染者も全世界で3400万人にも上り、毎年250万人以上が新たに感染しているそうです。しかしながら、発症を抑えるワクチンや治療薬の普及で感染の爆発は食い止められ、「不治の病ではなくなった」との認識が広がったこともあって国際的な関心が低下していることが懸念されています。

 三大感染症の予防や治療、ケア/サポートに必要な資金支援を行うことを目的に2002年設立された「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバル・ファンド)」がHIV/AIDSの感染拡大を防ぎ、800万人を超える人たちがエイズ治療薬にアクセスできる状況に大きく貢献してきましたが、リーマン・ショック以降、各国からのグローバル・ファンドへの資金提供が滞りがちになり、国際的な関心が失われつつあると言います。まだまだ治療薬にアクセスできない人が大勢いるなかで、今まで以上にグローバル・ファンドの充実が求められています。そして、グローバル・ファンドはHIV/AIDSとの闘いの最前線にいる、特にアフリカの市民社会組織の活動をサポートしていくことが今一番必要とされています。 

 日本を含めた経済先進国では軒並みHIV/AIDSの感染者が増え続けています。具体的な感染の予防策や治療方法を考えていくことはもちろんのこと、この問題は貧困や差別など社会の歪みや不公正によって助長されている側面があることを改めて認識する必要があるでしょう。医療関係者や保健分野のNGOだけでなく、社会として私たちとしてHIV/AIDSにどう向き合っていけばいいのか。改めて考えていくべき時に来ているように感じます。