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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/05/24

5/23 JVC報告会「現場から見たパレスチナの今」


 2013年5月23日に日本国際ボランティアセンター(JVC)で行われた、JVCパレスチナ現地代表の今野秦三さんの帰国報告会に参加し、パレスチナの最新状況やJVCの活動の様子について話を伺ってきました。おいしいパレスチナ料理の軽食も振る舞われ、くつろいだ雰囲気の会になりました。

 印象的だったのは、ガザ地区では貧困率が33%、失業率が35%にものぼり、住民の7割の人たちが援助に依存した生活を余儀なくされているということ。イスラエルによる経済封鎖が続く中、極限の生活を送っている人が大勢います。当然のことながらそのしわ寄せが子どもたちにも降りかかっており、一見健康そうに見えても実際は栄養失調の状態にある子どもの数は多いそうです。JVCはこうした子どもたちの栄養失調を予防するための活動を行っています。また、長期の占領・抑圧状況が続く中で、心理的外傷(トラウマ)に苦しむ人たちへの支援も重要になっています。

 さらに驚いたのは、東エルサレムの貧困率が78%、失業率も40%と非常に高い数値のデータが紹介されたこと。分離壁に象徴されるように、イスラエル人とパレスチナ人だけでなく、パレスチナ人どうしのコミュニティが分断されています。また、パレスチナ人の人口増加を押さえ込み、住宅建設にも制限をかけるイスラエル当局の抑圧的な政策がパレスチナ住民をさらに苦しめており、少しでも反抗的な態度を示すと住んでいるところを追われ、二度と戻って来れなくなるという恐怖が住民の間に広がっているそうです。このように住民を追い出そうというイスラエル当局の姿勢が露骨なのに対して、国際NGOは自らがパレスチナ住民支援のプレゼンスを示すことで、当局の思うようにはさせないための駆け引きが続いています。

 「いかなる困難な状況でも、人々の希望と互いに支え合う力を信じ、それを支え日本社会に伝えていく。支援を必要としない仕組み作りを進めていく」のがJVCの基本方針と聞きました。そうした思いは自分自身も共感を覚えます。

 いかに遠く離れていても、パレスチナの人たちが抱えている苦悩に想いを馳せ、1日も早く平和で安心できる社会がパレスチナに訪れるのを願わずにはいられません。