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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/03/18

3/13 「イスラム文化と親しもう講座」Vol.1 イラク編を開催


 3月13日に、アーユスと日本国際ボランティアセンター共催のイベントが池袋のアラビアンレストラン「月の砂漠」で開催されました。タイトルは、「Brown Bottle Talk イスラム文化と親しもう講座Vol.1 イラク編」。関係者も含めて31名が参加しました。ゲストは、アリー・ナジムルディーン・モハメドさん(イラクNGO・INSAN代表)、インティサール・カリーム・ガフールさん(INSANキルクーク市ラバリーン地区担当スタッフ)、ムアイヤード・モハメド・ガフールさん(キルクーク市HAY AL Asakary地区、地区住民代表)の3名。インティサールさんとムアイヤードさんはご夫婦で、今回はインティサールさんが立教大学のイベントのゲストとして来日されましたが、女性1人で外国へ行ってはいけないというイスラムの慣習で、ムアイヤードさんも同行されたそうです。アーユス副理事長の松本智量が聞き手として、それぞれの方々にイスラムの教えが日々の生活にどのような影響を及ぼしているのかを尋ねました。

 まず話題になったのがお祈りの方法。正式には1日5度計17回跪いてお祈りをするようですが、昨今では1日3度計9回の簡略化された形式もあるそうです。自分たちの精神を清めるためにお祈りをするわけですが、これは神によって決められており、人々は単にそれに従っているに過ぎないとのことでした。また、自らの信仰は神に言われたからやるのであって、論理的に解釈すべきではないとの発言が印象に残りました。人間は罪を犯す存在であり、浄化することが不可欠。そのためにお祈りをして他者に笑顔で接して功徳を積むことで汚れを取り除くことができるそうです。ゲストが日本で驚いたことはみな笑顔で親切にしてくれること。「みんな良いムスリムになれる」と冗談交じりに語っていました。

 続いて女性の権利についての質問がありましたが、女性ゲストのインティサールさんは控えめで、2人の男性ゲストが答えました。それによると、男性はお金を稼ぎ、女性の安全を守る義務があること。女性は子どもを育て、家庭を守ることが定めであるとして、決して女性の自由が制限されているわけではないと強調されました。イスラムの世界に限らず、男性は女性を丁寧にケアして、尊敬しないといけない。だから男性はいつも女性のために尽くす存在であると説明がありました。

 また、鞭打ち刑などの過ちの裁き方も、犯した罪と同じだけの罪を与えることを基本にして、悪いことを予防して平和を保つために行われているそうです。

 最後に「イスラムとは何か」との質問が出されたところ、イスラムとは宗教を越えて日々の生活の行いに秩序をもたらすものであり、人とコミュニティーの関係を取り持つこと。家族や集団との関係が取り決められているものであって、社会の中での役割を明確にするものとの回答がありました。つまり、毎日どうやって働いて食べて生きていくかを神のもとに取り決められていることと言えるそうです。

 さらにイスラムは5つの行いを重要視していて、①信仰を持つこと、②お祈りをすること、③施しをすること、④断食をすること、⑤メッカに巡礼すること。特に「貧しい人に施しをする」は他の宗教とも共通することであり、人間として互いに責任を負っていて、平和な環境を守ることが大切であるとされています。

 これまで漠然とでしかイスラムのことは分かりませんでしたが、お話を聞いて納得することもあれば、イスラムの意外な一面を垣間見ることができて、非常に興味深いイベントになったと思います。まだまだイスラムについて知らないことがいっぱいあるので、アーユスでは機会があればこの続きを企画していきたいと考えています。