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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/03/07

3/5 第4回MDGsカウントダウンネットワーク会議に参加しました


 3月5日に早稲田奉仕園で開催された標記の会議に参加しました。集まったのは NGOスタッフや企業関係者、大学関係者など40名余り。2015年までのMDGs(ミレニアム開発目標)達成に向けての取り組みや進捗状況、2015年以降の新たな開発目標の枠組みをどうしていくかという「ポストMDGs」についての議論を行いました。

 特に興味深かったのは、まず企業としてどのようにCSR(企業の社会的責任)を捉えていてMDGsに関わっているのかという事例報告。CSRには「攻めのCSR」と「守りのCSR」の2種類があって、日本では、社会的に行わなければならない義務をきちんと行うコンプライアンス(法令・企業倫理順守)を中心に考える「守り」が中心で、事業を通じて社会の求める価値を提供し、利益を創出する社会への貢献、つまり社会からの要請や期待に応えようとする「攻め」がまだまだ希薄であるという指摘は的を得ていると感じました。「攻め」の中でも、特に社会と良好な関係を築くために社会に積極的に投資する社会貢献が重要で、「事業のための社会貢献」からいかに脱却していくかというグローバルなCSRのトレンドに、日本の企業も取り組んでいく必要があると強調されていたことが印象に残りました。また、日本企業は社会的問題や課題に対する意識が低く、特に「環境」分野の取り組みは進んでいても、「貧困」などは優先度が低いという指摘も納得できました。

 さらに企業がCSRを推進する上で踏まえておかなければいけない点として、組織は外圧がないと動かないこと、CSR部門だけが頑張っていても「けもの道」しか作れないということ、CSRの目標を各事業部門の戦略目標・評価目標に組み込むこと、ミドルマネジメントの理解と推進が鍵だということ、など、いかに企業全体で横断的にCSRに取り組む体制を作れるかが重要であるようです。外圧という部分では、NGOのような「黒船」の来襲は効果があるようです(残念ながら幕末の黒船ほどのインパクトはNGOにないかもしれませんが・・・)。企業がMDGs達成に向けた取り組みを行うには、まずいかに「攻めのCSR」を実践できるかにかかっているといえるでしょう。

 また「ポストMDGs」をどう作っていくかについても、いろいろな議論が始まっています。特に、先進諸国の影響力が低下し、中国・インド・ロシア・ブラジルなどの新興国が台頭しつつある中で、どのような枠組みを作っていくかという合意形成はより複雑で困難な作業になることが予想されます。さらに、どのテーマを盛り込むかということで今後いろいろな駆け引きが行われることが予想されます。雇用、格差、高齢化、防災などは、MDGsの開発目標に含まれていないテーマですが、ポストMDGsではこれらを含めるべきとの声が上がっています。逆にここから外れれば今後2030年まで世界の開発のトレンドから取り残される懸念があるため、個別テーマに関わっている国際機関・NGOなどは何とかポストMDGsに自らが関わっているテーマが盛り込まれるように議論を盛り上げていくことが必至な情勢になりつつあります。

 まずは、先進国・途上国という分け方を乗り越えて、人類が共通して抱える地球規模の課題をどのように克服していけばいいのかを真剣に考えなければならない危機的な状況にあることを認識し、責任をどのように共有・分担していくかを決めていく必要があります。

 今回の会議では、上記のような視点をもとに日本のNGOとしてポストMDGs策定に向けてどのように取り組んで行けばいいのか、他セクターにどのように働きかけ連携を深めていけるかという点をグループで議論し合いました。