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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/09/08

【街の灯トーク#7】カフェ再開を目指して〜命をつないだ食料支援④


新しい挑戦:緊急救援、そして脆弱な状況にある孤児と家庭支援へ

井上 PLASにとっては、初めての緊急支援ということですが、やってみて新たな可能性や変化を感じたことがありますか?

門田 私たちはちょうどこのタイミングで、団体のビジョンやミッションを新しくしていたんです。「アフリカの取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会をつくる」というのが、新たなミッションで、これまではエイズ孤児の支援がミッションだったのですが、エイズと関係なくても脆弱な状況にある孤児、ご家庭を支援したいという、自分たちとしてはかなり大きな方針転換をしたタイミングだったんです。そこにCOVID-19が起きて、新たなビジョン・ミッションが、まさに決断の大きな指針になりました。これまでやってこれなかったこと、経験が浅いことにも、必要があれば挑戦してみようということで。

依然として支援している人の半分くらいはエイズ孤児のご家庭ですが、例えば、未婚のHIVのシングルマザーで、夫も亡くなってはいないけれど失踪している家庭などへと広がっています。これまでのミッションでは対象になっていなかったけれど、かなり似た境遇に置かれています。シングルファザーも同様です。

井上 方針の変化というのは、パートナーとの関係性のなかでも議論があってのことですか。

門田 それは非常に大きいですね。現場でエイズ孤児支援の団体という冠を掲げつつも、エイズ孤児と同じくらい大変なのになぜ私たちはこの子たちを支援できないんだろうという声は、現場からもあがりました。そこでまず、ひとつのプロジェクトで対象者を広げていくところから始めました。現場から突き動かされていますね。

マクロな視点からいっても、エイズの状況は少しずつ改善しているので、それも後押しになっています。

井上 お母さんたちも、支援対象者という立場からどんどん力をつけて、声を出せるようになってきているということでしょうか。

門田 支援を最初に始めるときは、自分の名前も書けない、自信がない、意見が言えない、そういうところから始まります。でも、カフェを立ち上げて卒業していくときには、堂々と自分の店のいいところをプレゼンテーションできるとか、堂々と笑顔で輝いて話せるようになっていきます。

いま、カフェのお母さんたちには、緊急支援に合わせて配布するドーナツを発注したりもしたんです。本来、長期保存できる食糧が基本ですが、賞味期限2日くらいのドーナツであっても、お母さんたちに仕事をつくって、他の受益者の方々に配りました。2か月、3か月ぶりくらいにドーナツを作って、「作り方を忘れちゃった」なんていうお母さんもいましたが無事にいいものができて、仕事をする誇りとか、人に頼られる喜びを感じてもらえたんじゃないかと思います。

井上 なるほど。そういう役割もあるのですね。

ちなみに、アーユスからの資金以外にも、クラウドファンディングなどで広く呼びかけをされていますが、これまで関わりのなかった方や、初めて支援された方など、新しい層の参加を感じますか。

門田 そうですね、すごく大きな後押しになっています。クラウドファンディングは350万円が目標でしたが、370万円くらいになりました。PLASを知らなかった、支援はしたことがなかった、という方も多かったです。いま、新型コロナウイルス感染症で大変なのって、アフリカだけでなくて、日本だって大変です。それでもアフリカに思いを馳せて寄付までしてくださる方がこんなにおられるということ自体が、私たちには大きな感動でした。感謝もあり、感激でもあり。

日本でも職場に行けないとか、失業したとか、ある意味、アフリカの人が直面している問題とも重なるところがあって。家から出られなくて小学校もいけなかったので子どもが家にいて仕事にもいけなくてどうしよう、というお母さんと、カフェも開業できなくておなかをすかせた子どもがずっと家にいて食べさせるものがなくて子どもが泣いていてどうしよう、というお母さんが、ある意味共感しあえる部分があったのかなと。「日本も大変だけれど、アフリカの大変さも想像できます」といった声をけっこうたくさんいただいたなって思っています。

井上 小さいお子さんのいるお母さんたちとかが、PLASの活動に共感していることが多いのようですね。他には、学生の参加も多いのですか。

門田 いま、インターン生が5-6人いるんですが学生さんたちです。他に社会人の方もプロボノのようなかたちで参加していただいています。そういった方々の協力なしには、成り立たない活動だなと思います。

井上 あと、現場にはなかなか行けない状況になってしまっていますが、現地の人たちの様子などはどう発信されていますか。コロナによってウェブサイトの閲覧数が増えたりもしたんでしょうか。

門田 現地レポートを週に1回はホームページに掲載して発信しようと心がけています。現地からの声や写真なども掲載しています。クラウドファンディングをきっかけに見てくださる人も増えたのかなと思います。

井上 もっとお話を伺いたいところですが、時間もありますので、参加してくださっている皆さんから寄せられたご感想など見てみましょうか。
「自立のためのスモールビジネスのサポートっていいな」
「日本の子どもの虐待、貧困に関心があって参加しました。日本国内でも実践できるヒントになりそう」
といったご意見、ありがとうございます。

では最後に、門田さんから一言お願いして終わりたいと思います。いかがですか。

門田 今回の新型コロナウイルス感染症の課題ってとてもグローバルで、よく考えてみると、日本だけがもし解決してもまたアフリカからアジアから入ってくるかもしれない、世界でいっしょになって取り組まなくてはならない問題だということを、ひしひしと感じる機会になったと思います。遠く離れたアフリカの課題も、私たちの課題なんだということを、COVID-19はある意味象徴的に示している。良い事象ではないですけれど、世界とのつながりを感じるきっかけになってしまったな、と感じています。これまでアフリカが遠かった人たちにとっても、私たちの生活が世界とつながっているからこそ、アフリカのことも自分の問題と考えて取り組んでいけるようになったらなと思います。

井上 アフリカに関わっているNGOも日本のなかにはそれほど多くないなかで、アフリカそして世界とのつながりを感じてもらう、大切な役割ですね。これからもぜひ頑張ってください。本日はありがとうございました。

門田 こちらこそ、ありがとうございました。


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