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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/07/14

【街の灯トーク#3】新型コロナで生活困窮に陥る移民・難民④


困窮している人に、現金の支給を実施

山岸 三番目が、今回アーユスさんからもご支援をいただいているこの基金です。移住連としては、初めてこうした直接支援に踏み切りました。

井上 これも、外国籍の方からの声があっての緊急対応だったんですか。

山岸 そうですね、あまりにも生活困窮の規模が大きかったので。あときっかけのひとつとしては、特別定額給付金の対象から一部の外国人が外されたことでした。ほかの人たちはどんな年齢の人でも10万円もらえるのに、同じ日本に住んでいながら、在留資格のことで排除されてしまった人がいました。

井上 そういう人たちは、全体でどのくらいいるんですか。

山岸 現在の統計からは、はっきりわからないのですけれど、どんな人が対象外になったかをご説明します。
 4月21日の時点で3か月以上の中長期在留資格のカードを持っている人は全員対象でした。対象外とされたのが、非正規滞在の人。難民申請中であっても、難民申請してまだ日が浅い人たちはここに分類されます。あとは「短期滞在者」。学校が終わって3月や4月に短期滞在に変わった留学生や、技能実習の人で切り替え時期で特定活動3か月になった人などが、4月の段階では対象外でした。このあたりの人たちが5月20日ごろの段階でようやく対象に含まれることが決まりました。
 今でもこの、難民申請者で2〜3か月の在留資格の人や、非正規滞在、仮放免されて家族と住んでいる人などは対象外なんです。移住連としては、この人たちには10万円は出せなくても、とにかく何らかの現金給付が必要だということで、この基金をやろうと踏み切りました。

井上 「移民・難民緊急支援基金」ですね。3万円が支給されるということですが、具体的にどんな制度ですか。

山岸 移住連はネットワークをベースとした組織なので、ご本人からの直接の申請を受けるのではなく、移住連の会員で実際に支援に携わっている団体や個人から「この人に対して現金給付をお願いします」と申請してもらいます。対象者は先ほど言ったように、非正規滞在や難民申請者のような特別定額給付金の給付対象外となっている人が一番優先度の高いカテゴリー、次に、給付金は受け取れるけれども給付されるまでの間に本当に困窮して全く収入がなくなる人たちとなります。ただし件数を限って比重を下げて申請できるようにしています。
 まずは募金活動を5月8日に始めて、一週間後の5月中旬には申請受付を開始しました。先週水曜日(2020年6月3日)の時点で、既に482人に現金給付支援を行っています。
 今回、いろんな方の共感を得られたと思っています。5月はじめからひと月たたないうちに、1129万8499円の寄付が集まり、それに加えてアーユスさんほか3団体からの助成金をいただいて、全部で1500万くらいが集まりました。すごいことです。移住連としてこれだけの寄付が集まったのは初めてのことですね。

井上 このことは報道やメディアなどでも紹介されているのでしょうか。

山岸 「コロナ禍で移民の人たちがどのような状況に置かれていますか」という取材であっても、生活困窮は日本人も大変だけれど、それ以上にもともとが脆弱だったのでより一層厳しい状況に置かれていますから、移住連はこういう基金を始めていますと説明して書いてもらています。なにしろ482人の方に既に支援をできたということは、本当にありがたいことですね。
 運営はたいへんです。毎週150件くらいずつ申請がきて、ちょうどそれにピッタリくらいの寄付金が集まって、支援するとほとんど底を尽く。また次の一週間にその分が集まる、というような具合。仕組みとしては、みんな困っているので、「一か月後に締め切って給付します」という形にではなくて、毎週申請があった分を確認・審査して支援を実施する、週に1回のサイクルをつくっています。

井上 決まったらすぐに振り込むのですか、現金給付ですか。

山岸 会員の方に振り込み、会員の方がちゃんとご本人に届けるというシステムです。
 当事者の皆さんの声をいくつかご紹介します。
 いちばん大きな対象層は、仮放免の難民申請中の方です。支援を受けている人のうち、これら非正規滞在の人が9割くらいを占めるのではないかと思いますね。
 例えば、
・コロナの前から家主の好意、支援者からの援助でかろうじて生活していたけれども、コロナのあとに支援者からの援助が受けにくくなって、困窮度が悪化している。
・コロナの影響で入管収容中の人がずいぶん仮放免で外に出られるようになったものの、難民申請していても、仕事はできない状態なので収入が全くない。
・仮放免を受けているけれども、支えに限界がきている。幼い子どもを抱えてミルク代やおむつ代も十分ではない。
といった声です。

病気を抱えている人がすごく多いことも特徴です。仮放免されている方は、収容経験もあるので体調を崩していて、心身の治療を必要としている一方、困窮していることが多い。
・自分は働けず、日本人の婚約者や支援者が頼みの綱であるけれども、みんなが困窮しているので大変だ。

 次に多いのは、帰国困難になった留学生や実習生の人。
・家族滞在という在留資格があるが、夫がコックとして働いていて就労期間が終わったので、家族で帰国予定だった。ネパールがロックダウンして帰国便が出なくなったが、在留資格も切り替えてしまったために働けず、友人等の支援で食費をまかなっている。

 シェルターにいる方。もともと技能実習などの過酷な就労にいられなくなり、働き先を離れたために在留資格がなくなった非正規滞在の方たちで、ベトナムの方々が多く集まっているシェルターです。
・コロナ禍で仕事ももちろんできないし、居場所もお金もなくなってしまい、シェルターに来ているが、すぐに帰れないので(つまり帰国困難な状況)周囲の人の支援に頼っているけれども、ぜひ支援をお願いしたい。

 こういう方々がたくさんいらっしゃることも改めてわかりました。
 支援金をどう使っているかについても、書いていただいています。
 先ほど紹介したホームページのほうにも、支援を受けた方の声を「基金の速報」というかたちで載せているので、ぜひご覧になっていただけたらと思います。
○新型コロナ「移民・難民緊急支援基金」支援速報(毎週発信。リンクは下記)
第1号 | 第2号 | 第3号 | 第4号 | 第5号 | 第6号

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