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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/07/14

【街の灯トーク#3】新型コロナで生活困窮に陥る移民・難民②


不安定な就労状況と滞在資格

井上 外国人や移住者と言っても、様々な方が日本で暮らしていて、その中にはコロナ前から、仕事や子どもの教育をはじめ、いろいろなところで困難を抱えていらっしゃる方が多いと思います。実際にどんなふうに過ごしているか、教えていただけますか。

山岸 まず、3月くらいから、全国各地の支援団体に届いていた声は、日本人の方と同様、「仕事がすごく減らされた」「なくなった」「収入がない」「生活ができない」という訴えだったんですね。特徴として、すでに定住歴が長い外国人の方でも派遣労働や非正規雇用、パートタイムなんですよね。そのために、仕事がなくなったらそのまま収入減となり、今までギリギリで生活をまわしていたのがまわらなくなりました。
 あと、技能実習生の方は一応フルタイムの正規雇用なんですが、彼らの訴えは「給料がもらえていない」とか、3万円、5万円くらいに減給になったというんですね。本来ならば払われるはずのところ、休業補償がされていない、権利を知らないからということで払われておらず、とにかく現金収入がなくなりました。
 留学生の方々もとっても深刻で、ほとんどは飲食、カラオケ、ホテルなどでのアルバイトですから、仕事がなくなり収入が絶たれてしまった。かつ、学校も今やっていないので相談することもできません。生活も成り立たないし、学校もどうなるんだろう、在留資格はどうなるんだろう・・・と、非常な不安のなかにいます。

井上 外出を自粛しなくちゃいけないということで、孤独感を感じてもおられるだろうし、先行きが見えませんよね。

山岸 もうひとつ特徴的なのが、3月くらいから出入国の制限がかかって事実上の国境封鎖になっているので、出国できない、帰国できない、行き来できない、ということになりました。
 3月は卒業で、留学生も帰ろうとする時期。技能実習も期間が終わって帰国、もしくは次のステップに移ろうとしていた人たちが、帰国困難になってしまったわけです。在留資格は「短期滞在」とか「特定活動」などで、アルバイトもできないのに日本から出られない。生活費はどんどんかかる。住む場所にも困る。今回の基金でも、シェルターから申請する帰国困難者の方がおられましたが、そういった人たちもコロナの直接の影響を受けていますね。
 もうひとつ、今回の支援基金の大きなカテゴリーとなったのが、「難民申請者」と「非正規滞在」になっている人たちです。難民申請者の方はいろんなパターンがあります。例えば観光ビザで入ってきて、そのあと3か月以内に難民申請をすれば在留資格があるままで「難民申請者」となれますが、やり方がわからないまま3か月が過ぎてしまった、あるいは空港で難民申請を試みたけどできずに、そのまま収容されてしまう──これは日本の法制度の問題ですが──ということになっていて、非正規滞在になっている難民が多いんです。外務省の保護費を受けている人もいますが、中にはまったく支援がないまま、家族や同国人のコミュニティ、民間団体や宗教団体などの支援を受けて難民申請をしているケースもあります。その周囲にいる人がコロナの影響を受けて支援が困難になり、教会などの宗教施設も閉まっているので寄付が集まりにくくなり、支援者が支えられなくなって生活困難が起こっている事例もあります。

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