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平和人権/アジア

平和人権/アジア2017/02/23

「南北コリアと日本のともだち展」(東京展)を開催


 今回で16回目を迎えた「南北コリアと日本のともだち展」(東京展)。2017年2月17日から19日まで、アーツ千代田3111(東京都千代田区)で開催され、3日間で500名ほどの来場がありました。

 「南北コリアと日本のともだち展」は、わたしたちの住む東北アジア地域の平和を願って2001年から始められた催しで、大韓民国(韓国)・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・中華人民共和国・日本そして在日コリアンの子どもたちの絵をひとつの会場に展示して、絵でお互いを紹介しあい、わたしたちの間にある壁を乗り越える第一歩にしたいという思いを持って毎年開催してきました。東京だけではなく、ソウル、ピョンヤン、延吉(中国東北部)でも展示会やワークショップを催し、また作品を貸し出して日本各地で巡回展も行われています。

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 実際に行き来して直接交流することは難しくても、この絵画交流を通じて、絵を通して相手が考えていること、感じていることに思いを馳せ、互いの文化や暮らしについて学び、あたかも同じ場所にいるがごとく心を通わせるひとときを持ってもらうことができると思います。さらに、お互いの絵について感じたことをメッセージとして交換し合うという行為を通して、遠く離れていても友だちになれるということも、私たちが大切にしていることです。このように、子どもたちの絵にはさまざまな思いが込められていて、それを他の国の子どもたちが感じ取り、メッセージを送るというキャッチボールの積み重ねが、いつの日か、国の違いを乗り越えて東北アジアが一つになれる日がきっと訪れると確信しています。

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 今回の絵画展では、「凧をあげて東アジアの空に平和をよぼう!」というコンセプトで各国で行われた凧作りワークショップで集まった色彩豊かな子どもたちの手作り凧が天井いっぱいに飾られました。等身大の自画像の子どもたちが自分とは違う国の凧を揚げるという工夫も。例えば、韓国の派手な出で立ちのイカした若者が日本の伝統的な助六の凧を揚げていたり、北朝鮮の児童が韓国に古くから伝わる凧を揚げたり・・・。いつかそんなことが当たり前のように行われる社会になってほしいと思わずにはいられませんでした。また、韓国と中国からのゲストがそれぞれの国の凧の歴史や特徴、どういうときに揚げるのか等についてお話いただき、地理的に近くてもそれぞれに違った特徴があるのが興味深かったです。期間中は、日本人と日本に住む朝鮮学校の子どもたちが一同に会して、思い思いの凧を作るワークショップも行われ、作った凧を会場の屋上で揚げて楽しみました。子どもたちが元気に走り回って凧を揚げる姿は平和そのもの。これらの凧に込められた平和の願いは将来きっと実現することでしょう。

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 また、ともだち展の期間中、昨年8月に北朝鮮を訪問して平壌外国語大学の日本語学科の学生たちと交流した日本の大学生たちによるトークイベントが行われました。80名以上の参加があって立ち見客も出るほどの盛況ぶり。それぞれの年に参加した学生たちの率直な感想などを、ほぼ毎年平壌訪問に同行した記者が聞くというスタイルで行われ、5年間の交流の軌跡を振り返りつつ、この交流がそれぞれの学生に与えた影響について意見交換が行われました。この日朝大学生交流は、ともだち展の訪朝に合わせて5年連続で行われてきましたが、交流する時間が年々拡充され、話合う内容も少しずつそれぞれの歴史や政治について、それぞれの立場を尊重しながら意見を交わすようになるなど、より深い交流になりつつあります。これも5年間に積み重ねてきた交流の成果と言えるでしょう。

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 東アジアは政治的に依然としてぎくしゃくとした状況が続いていますが、そうした中で市民レベルでの交流がほそぼそとでも10数年にわたって続けられてきたことは画期的と言えるでしょう。この交流が将来どのような意味を持つのかは分かりませんが、確実に言えることは、政治的な関係悪化にも関わらず、積み重ねられてきた交流によって、市民同士の交流には影響を及ぼさないほどの揺るぎない信頼・友情関係が築かれていて、それぞれの国に理解し合える仲間がいるということ。これこそがともだち展が常に目指してきたことであり、小さな動きではあるものの、東アジアの未来に希望という光を灯火続けているのだと思います。