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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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平和人権/アジア

平和人権/アジア2011/11/11

「南北コリアと日本のともだち展」


南北コリアと日本のともだち展

「南北コリアと日本のともだち展」〜ソウル、平壌、2つのワークショップに小学生と参加して〜

佐藤 まり(アーユス事務局コリア担当)

 この夏、アーユスが実行委員会に参加している「南北コリアと日本のともだち展」を通じて、ソウルと平壌、ふたつのワークショップに小学5の娘と共に参加しました。

「南北コリアと日本のともだち展」の活動は今年11年目を迎えます。互いの信頼関係に裏付けされた、温かい心の通い合った交流が重ねられてきました。とりわけ平壌ワークショップにおいて、感慨深いシーンに何度も立ち会うことができました。今回、南北あわせて訪問する機会を得たことで、アーユスが支援する活動の意味の重さと社会的責任を深く感じ入る経験になりました。

1 ソウルでのワークショップ(8月3日〜7日)

「南北コリアと日本のともだち展」の協力団体であるオリニオッケドンム(*1)が主催した「東アジアこども平和ワークショップ」に日本の小中学生6人と共に参加しました。今回のワークショップには、韓国の子どもたちのほか、ソウル市内モンゴル学校の生徒、そして中国延吉市からの参加者3名と日本からのこどもたちをあわせて総勢50名が集まりました。

「つなぐ、つながる、ともだち列車」(*2)の共同制作だけでなく、平和のメッセージをしたためた凧作りや南北休戦ライン近くの非武装地帯へのフィールドトリップなど2泊3日には盛りだくさんのプログラムでした。

2 平壌でのワークショップ(8月24日〜27日)

「南北コリアと日本のともだち展」代表で、日本ユネスコ協会連盟理事の米田伸次先生が団長となり、在日朝鮮人の子どもたち6人と児童文学作家の山花郁子先生、教育学や農業の専門家の方々とともに平壌のルンラ小学校を訪問しました。日本人児童が初めて訪問するということで、私たち親子も大変な歓迎を受けました。

 交流会では、子どもたちが歌や踊りを披露し合いました。夏休みにも拘わらず駆けつけられた教員の方々や校長先生と、それぞれの教育事情について様々な情報交換をすることができました。米田団長が、ユネスコが「こころの絆」を重要視して教育運動を展開していることを話され、ルンラ小学校の先進的な取り組みが称えられると、校長先生も「互いに目的、志向が一致していることに感銘を受けた。政治的体制の違いを超えて、今後もこの活動を続けていきたい」と述べられました。

 別れ際にはルンラ小学校の児童も日本から来たこどもたちも感極まり、涙を浮かべて手を取り合い再会の約束をしていました。こうした自然にわき上がる互いの感情のやりとりの中に、11年続く互いの交流の確かさ、真実の友情の実りを見た思いがしました。

 11年の年月を経て、「南北コリア」の活動は、南北コリアの地域だけに留まらず、中国、モンゴルの人々との交流も広がり、東アジアの子どもたちが平和を学び交流をする未来志向の活動に展開しつつあります。11月にはソウルワークショップに参加した中国延辺朝鮮族自治州にある「中韓児童図書交流活動」を視察、当地での交流を深め、次のプログラムに向けてその新たな活動の模索が始まっています。平和構築という一つの目的に向かって、このように様々な立場の人々が活動に加わることは、その展開に大変有利なことと言えます。「互いに尊重しあいながら、それぞれの特性でそれぞれができる役割を果たしていく」ことによって築かれるネットワーク活動の特長を再確認することもできました。こうした活動が、子どもたちにできるだけ公正な歴史認識を身につける助けになるだけでなく、心や身体を通じて培われた経験そのものが、未来志向の平和構築の原動力として、最も確かな財産になることを確信しました。

 そして、このような地道だけれども確かな平和構築活動を支援することができる喜びを、会員の方々により広くより深くご理解いただけるよう努力をしていきたいと思いました。

 2011年、共同制作でこともたちが作った列車は「希望の未来号」として、心の通い合った交流を自由にすることができる未来に向けて走り出しました。展示会は日本各地で開催されます。

*1 オッケドンムは、北朝鮮の子どもたちへの支援(病院建設や豆乳工場支援など)と並行して、平和教育や文化交流を通して朝鮮半島や東アジアの子どもたちが紛争や差別を乗り越え、互いを理解し、敬意を払い、分かち合う精神を持つおとなに育つように活動を続ける韓国ソウルにある団体です。

*2各自が車両を作り、ともだちの作った車両に乗る「自分」の姿を作り、好きな車両に乗せることでともだちを増やしていく動きのある作品です。