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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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平和人権/アジア

平和人権/アジア2010/12/25

第10回南北コリアと日本のともだち展


南北コリアと日本のともだち展

第10回 南北コリアと日本のともだち展

アーユス事務 岩見充恵

 わたしたちの住む北東アジア地域の平和をねがう「南北コリアと日本のともだち展」は今年で10年目を迎えました。この10年を振り返ると、北東アジアの国々の関係は決してよいものではありませんでした。まして、東京でのともだち展開催直前に、軍事演習に反発した北朝鮮側から延坪島に砲撃があり、韓国の民間人にも死者が出るという痛ましい事件が起こりました。しかし、このともだち展は、明るい未来が待っていると確信できる場所でした。韓国のワークショップと東京でのともだち展の様子を報告いたします。

 韓国ワークショップ(9月16日〜20日。会場 ソウル市ボンド青少年センター)
 ともだち展(12月2日〜5日。会場 青山こどもの城)

韓国ワークショップ

 アーユスの佐藤まりさんと、佐藤さんの長女のたらさん(小学校4年生)が、韓国でのワークショップに参加しました。たらさんからの報告は、下段のコラムでお届けします。

「南北コリアと日本のともだち展」

 今年は、北朝鮮・韓国・日本の3カ国の子どもたちによる共同作品「行こうよ!カジャ、カジャ!おまつりひろば」(協力・絵本作家 浜田桂子さん)が壁を大きく飾りました。これは、幅が5メートルもある大きな絵です。ピョンヤン・ソウル・東京から伸びた道がくねってお祭り広場に向かっています。その道は、お花畑の道や海の道、おばけの道と続き、子どもたちがその上を歩いていっています。道の最終地点のお祭り広場ではどの国の子どもたちもとても楽しそう。子ども達の純粋な心には国境が無いことを表しているようでした。

 また、「10年後のわたし、未来のせかい」をテーマに募集した作品には、北朝鮮、韓国、中国、日本から絵が約320点集まりました。明るいニュースが少ないこの頃ですが、彼らが描く10年後の未来はとても明るく、平和な世界が待っていました。

 くりむとーく(トークイベント)では、これまでピョンヤン・ソウル・東京でのワークショップに参加した子どもたちが大集合しました。KOREAこどもキャンペーンの筒井事務局長によると、この10年間、往来した子どもたちは180名。各地域での交流ワークショップに参加した子どもたちは千名を超えたそうです。韓国のパートナーNGO「オリニオッケドンム」の事務局次長のチェ・ヘギョンさんは、この10年を振り返って「子どもたちは言葉が通じなくても会いさえすれば、無限の可能性が広がる。そう思えたともだち展でした」と語り、子どもたちは「ともだち展に参加することで、より一層平和というものを意識するようになりました。僕たちの未来は、僕たちが作っていかないといけない」と力強い言葉を残してくれたことが、とても印象的でした。

平和に関する絵本制作への動き

 現在、中国・日本・韓国3カ国の絵本作家12名が集まり、平和に関する絵本を作成しています。前述の浜田桂子さんも、積極的にこの動きに参加されています。例えば、浜田さんの『へいわってどんなこと?』や、南北の軍事境界線のことを描いた『非武装地帯に春が来たら』、従軍慰安婦のことを描いた『コッハルモニ』などの作品があります。

 ご協力くださった皆様、ありがとうございました。ともだち展は、今後も北東アジアの平和を願い、歩んでいきます。「ともだち展」をみなさんのお寺や地域でも開催しませんか。ご関心がある方は、アーユス事務局までご連絡ください。

佐藤たらさんの感想

 私は初めて韓国ワークショップに参加しました。一番印象に残っているのが、ホームステイとボンド青少年センターでの合宿です。

 ホームステイ先では、キム・ウンソさんの家にとまりました。キングコングをみた後、おふろから出てきた時にちょうど晩ご飯ができていました。辛い物だけでなく、甘口の物も出してくださいました。食後、犬の散歩に出たら、いつのまにか11時半になってしまいました。夜中に公園で日本にはない遊具で遊びました。

 夜ねる時に部屋を暗くして目をつぶると、おねえさんがやさしくせ中をトントンとたたいてくれました。私は保育園のお昼ねの時間を思い出しながら、ぐっすりねむることができました。何もお話はしなかったけれど、おねえさんのやさしさが伝わってきました。カムサハムニダ。

 よく日、ホームステイ先のお父さんの車でボンド青少年センターに向かいました。午前中ワークショップをして、午後「共存」を探すために、グループ分けをして平和博物館やフェアトレードのお店や町に出ました。

 3日目は「共存」に関する言葉の書かれているカードを草むらや木の枝から見つける宝探しをしました。午後になって「共存」のバッグを作った後、絵の具のかわくまでの間、お友だちと「コチョコチョごっこ」をして遊びました。韓国式のじゃんけんをして、おたがいにくすぐりあうだけの遊びです。言葉は通じなかったけれど楽しく遊びました。

 私が初めてのワークショップで学んだことは、言葉はちがっても、やさしさや思いやりがあれば人の心は通じ合うことができるということです。けれども、来年も韓国で東アジアの友だちに会っていろいろなことをお話したいのでハングル語の勉強を始めました。言葉ができれば、相手のことをもっと知ることができるし、自分のことを相手に伝えることができます。来年が楽しみです。