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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2017/03/22

シンポジウム「平和な世界をつくる金融のはなし」


 あらゆる経済活動に必要なお金とそれを仲介する銀行。私たちは普段お金を銀行に預けていて、サラリーマンであれば給料は銀行口座に振り込まれ、税金や公共料金等はそこから引き落とされ、必要に応じてお金を引き出しながら日々の生活を送っています。私たちは普段その預けているお金が何に使われているか、その結果何が起きているかを余り意識しないで暮らしています。

 私たちのお金が実際にどのような投融資に使われているのか、あるいは今後使われる可能性があるのかを考え、そのような投融資が適切に行われれば、平和な世界をつくることが可能ではないかとの思いから、地雷廃絶日本キャンペーンとアーユスが共催で3月15日にシンポジウムを開催しました。

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 最近、環境(Environment)、社会貢献(Social)、企業統治(Governance)を重視して投資先を選ぶ「ESG投資」(「責任投資」とか、「持続可能な投資」とも呼ばれている)が社会的に注目を集めるようになっています。こうした動きの中で、クラスター爆弾などの無差別兵器を製造する企業や、環境破壊を引き起こしていると懸念される事業への投融資を控えようとする流れが少しずつ拡がっています。先行しているのは欧州の政府系ファンド。特にクラスター爆弾を製造する企業を投資先からの除外リストに入れるなどの動きが出ています。日本では、国民年金と厚生年金の積立金を一括して運用する、世界最大の年金運用法人であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、2015年9月にPRI(責任投資原則)に署名するなど、ESG投資への取り組みを強めていますが、残念ながらそれに追随する動きが出ていないようです。

 欧州でESG投資が拡がっている背景には、気候変動や経済格差の拡大、難民/移民問題など地球規模の課題に対処していくためには、現在のグローバルなお金の流れを変えないといけないという危機感がが挙げられます。また、ESG投資に踏み切らないと社会から信頼を失うというリスクを感じるようになっていることも見逃せないようです。

 日本は、2008年に成立して2010年に発効したクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)の締結国であり、クラスター爆弾は生産しておらず、保有弾も全て廃棄済みとなっています。ただ、2010年に全国銀行協会がクラスター爆弾の製造に係る投融資の禁止を発表したにも関わらず、日本の金融機関はHPやCSRレポート等でそのことを公表しておらず、国際法で製造が禁止されている兵器への投融資は続いていることが懸念されます。また、特に日本では、原発の製造企業への投融資にもっと目を光らせる必要があるように感じます。

 こうした平和な世界をつくる金融を実現させていくNGOの動きとして注目されるのが「Fair Finance Guide」という取り組みです。兵器産業への投融資、気候変動対策の有無、環境破壊を起こす事業への投融資方針など、包括的に採点基準を設けて点数を公開しており、日本版も出されています。ダイベストメント運動といわれる、こうした活動が拡がることでクラスター兵器への投融資から撤退する動きが出てきており、今後は生物・化学兵器、核兵器関連産業への対応などにも拡がることが期待されます。

 この運動がさらに成果を上げるために欠かせないのが市民の声。より多くの市民が投融資に関心を示し、声を上げて行動していくことが必要になっています。

Fair Finance Guide Japan    http://fairfinance.jp/