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その他の地域2018/11/12ツイート
「ごちゃまぜ」のうまみ:加賀・能登スタディツアー1
行ってきました、秋から冬への能登半島。あなたを訪ねた旅ではなく、生かし合う暮らし方のヒントを得に。アーユスの元スタッフであった三村さんは、実家がある能登半島(七尾市)に昨年の秋に戻りましたが、戻ってからの彼女の発信は「能登ってすごくない?」というものでした。自然農法による農業を始めたり、ご実家が薬局を閉じたと思えばそこを「月並み空間」という地域に解放したスペースにしたりと、とても興味深い。加えて、何やらいろいろとなことが金沢から能登にかけて起きているようなので、国内スタディツアーと銘打って、会員・関係者の方々と訪ねることにしたのです。
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広い敷地にたくさんの施設があるシェア金沢
金沢駅で集合し、まず足を運んだのは「シェア金沢」。市街地からちょっと離れたところに広がる1つの街と言っていいでしょう。リンク先から街ナビを見て頂ければわかりやすいと思いますが、そこにはサービス付き高齢者住宅、学生向け住宅、障害児のための児童入所施設から、産前産後のケアスペースやショップあり、そして温泉施設にレストラン・カフェバーまであるところ。いろいろな背景を持つ人たちが支え合いながら暮らせる場所です。温泉施設やレストランは住民でなくてももちろん利用でき、そこで働いている人は傷害を持った方々だったりします。
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自然学校GAIAは子ども向けのプログラムがいっぱい。
子ども達が主体となって活動できるスペースや、様々な角度から子育てを支援するセンターもあり、放課後になると隣にある小学校からワサワサと子ども達が遊びにやってきます。
病院があった場所を買い取り、あまりにも広いのでいろいろな施設が造られたような話も聞きましたが、結果としてとてもよかったのでは?
ここを運営しているのは、社会福祉法人佛子園。なんと、行善寺という白山市にあるお寺が始めた事業。戦後、行き場のなくなった子ども達を庫裡に引き取ったことが、現在の活動の原点にあるそうです。ウェブサイトをご覧いただければわかると思いますが、佛子園が手掛けている事業は多岐にわたり、ひと言では語りきれません。しかし、どの事業にも通じるのは、人と人、そして人と地域をつなぎ、支え合いながら暮らせる場所を作っていることでしょうか。日本海倶楽部では、障害者の方々がそれぞれの適性に併せて働いていて、美味しい地ビールまで造っています。また、一度は廃寺になった西圓寺さんは、今は高齢者や放課後のデイサービス拠点であり、就労継続支援B型の施設として再び動いています。もちろん地域の人たちも集える温泉付き。
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サービス付き高齢者住宅。1階のサロンでは何かの教室が開かれ、居住者の方々が集っていた。
ツアー2日目には、輪島市にある関連施設「輪島カブーレ」も見学。ここは、町中にある空き家を生かして、グループホームやウエル
ネスクラブ、カフェ、サービス付き高齢者住宅、そしてもちろん温泉とレストランなどがあり、漆の街輪島に新たな息吹を与えているところ。ここはオープンしてから日が浅いので、まだこれからどんどん拡大していくことです。参加する人の持ち味と地域がつながって、新しい展開がいろいろと計画されているとのことでした。
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輪島カブーレについてのレクチャーは、元協力隊員のSさん。
輪島カブーレのおもしろい点の1つは、青年海外協力隊から戻ってきた人を採用していることです。海外で詰んだ経験を生かす場所として、公社青年海外協力隊と佛子園が連携することになったそうです。地域に目を向けるのは大切なことですが、それだけに目が向き海外とのつながりを見失うのは残念なこと。しかし、輪島カブーレは、人と地域のつながりの向こうに海外があることも、思いださせてくれます。
とにかく圧倒されました。しかし、同時にものすごい緩さも感じたので、もしかすると私たちにもできるのでは?と思わせてくれるところもあり。お寺もNPOも、自ら自分たちの可能性を制限しているのでは?と考えさせられました。まずは足を運ばれることをオススメします。肌で感じると、ひと味違うと思います。(M)