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その他の地域2017/01/16ツイート
南スーダン:時局対応報告
自衛隊派遣をめぐる議論が巻き起こっていた「南スーダン」。今、何よりもまず必要なのは人道支援かもしれません。
日本国際ボランティアセンター(JVC)は、2005年からスーダンに関わり、最近はスーダンと南スーダンの国境近くで国内避難民への支援を行っています。そして、2016年の秋からは、南スーダン国内においても国内避難民への支援を行いました。しかし、国連やNGOによる支援活動は南スーダン政府と軍に厳しく制限されているため、唯一独自の調査と支援がゆるされている教会組織をパートナーに実施しました。
アーユスは、JVCの南スーダン緊急救援を支援しています。南スーダンでの活動をご報告します。(今回の報告は、JVCから送られてきた報告書をアーユス事務局が編集したものです。)
以前はスーダンというひとつの国でしたが、20年以上にわたり内戦が続き、2011年にようやく「南スーダン」はスーダンから分離独立しました。新しい国ができてこれから落ち着いた暮らしを取り戻せるかと喜んだのもつかの間、2013年には政府(大統領派)と反政府(元副大統領派)が反目し内戦が勃発しました。
2016年4月には和平合意が結ばれ、元副大統領のもと統一政府が樹立されましたが長くは続かず、7月から戦闘が再燃。数百人が犠牲となり、ジュバ市内だけで4万人が避難を余儀なくされました。政府軍と反政府軍との戦いがあったほかにも、武装グループが村落を襲撃し、焼き討ちをするなど無差別な殺人を繰り返し、無人化した村も多くあります。紛争が終結した後も、軍による襲撃や略奪、性的暴行が行われたために、市民は不安と恐怖の中で暮らしています。また急激なインフレにより物価が上昇し、生活物資が欠乏したのも市民の生活を困窮させました。隣国のウガンダには、20万人以上が難民となって逃れたと言われています。
医薬品支援
ジュバ市東部のグンボ地区にある保健センターは、避難民が押し寄せたために人口が急増した上に、国家の財政破綻により医薬品の提供ができずにいました。
乳児を連れたお母さんが、「マラリアに罹った子どもを連れてきても、ここでは『薬がない』と言われて処方箋だけを渡されることが多い。夫を今年の戦闘で亡くし、今は薬局で薬を買うお金もない。(マラリラ予防の)蚊帳も買えない。食料をなんとかするので精一杯」と言っていたくらいです。
実際、以前は1日平均50〜60人だった受信者数が300人にまでふくれあがった状況が続いていたため、JVCは保健センターと協議し、不足している医薬品と医療品を支援しました。
その結果、担当医師の見込みでは、今後約3ヶ月にわたって適切な治療と薬品の提供を続けることと、限られた現金収入しか持たない避難民が、ほぼ無償で治療を受けることが可能になるとのことでした。
再び医薬品の在庫が払底する3ヶ月後のことが課題であるため、今回のパート−ナー団体である「カリタス・ジュバ」を中心に現地で保健活動を行うNGOとの協議を継続していく予定です。
食料支援
武装グループの襲撃を受けたロボノク郡では、数百世帯が郡内の小学校での避難生活を送っていました。11月になって多くの避難民は村に戻りましたが、食料庫は焼失し、畑地は荒らされて収穫が望めず、当面の食料にも事欠く状態でした。国際機関からの支援も10月以降は途絶えていたため、JVCは妊産婦や授乳期の母親、高齢世帯、孤児などもっとも脆弱な140世帯に対し食料を配付しました。
(この地域には日本人が入域できないため、パート−ナー団体である「カリタス・ジュバ」に配付を委託しました)
これにより当面の食料危機を回避することができたので、村人達もこの間に耕作などこれからの生計活動の準備を進めることができるでしょう。
このように人道支援を行ってはいますが、情勢が不安定な状況が続いています。情勢の回復には紛争の解決が不可欠です。しかし、現状では命を守る救援活動が急務です。治安が悪くアクセスにも制限があるために情報収集と支援活動にも限りがありますが、現地の団体との協働を進めつつ、今後もより多くの地域への活動を継続していく予定です。
詳しくはJVCのウェブサイトもご参照ください。