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その他の地域2012/02/25ツイート
「STAND UP」 〜「貧困のない世界を実現したい」という願いを形に〜
「STAND UP」 〜「貧困のない世界を実現したい」という願いを形に〜
動く→動かすSTAND UP コーディネーター 笠原由晶
「2015年までに世界の貧困を半減する」ことなどを約束した、ミレニアム開発目標(MDGs)が策定されてから10年以上が経過。しかし、教育や保健などの分野では状況の改善が見られるものの、全ての分野や地域で目標を達成することはむずかしいと言われています。
STAND UP TAKE ACTION(スタンド・アップ)は、「この状況を変えたい。貧困のない世界を実現したい」という人々の願いを形にしてMDGs達成を近づけるために、2006年に始まった国際的なキャンペーンです。世界貧困デー(10月17日)前後に貧困解決の意思表示として「立ち上がり」(STAND UP)、何か1つ「行動する」(TAKE ACTION)。そして、その様子を収めた写真を集めて参加人数で市民の「声」をつくり、MDGs達成に大きな責任を持つ、世界や日本のリーダーたちに届けます。
2009年には世界121ヵ国で1億7300万人以上がキャンペーンに参加。ギネスブックにも記録されるほどアクションの輪が広がりました。日本でも年々参加者が増えて、ここ数年は全国47都道府県で活動が行われています。
助け合うために 世界にはたくさんの国があるのだと思う
MDGs達成という目的は変わりませんが、スタンド・アップでは毎年テーマを設けています。例えば2010年は、同年9月に開催されたMDGs国連首脳会合に焦点を当てて、同会合への菅直人総理(当時)の出席や、達成への貢献策発表を求める働きかけをスタンド・アップと並行して行いました。キャンペーンと政策提言を同時に行った成果もあってか、菅氏は同会合に出席して、教育と保健分野に5年間で合計85億ドルの支援を行う「菅コミットメント」を発表しました。
2011年は、東日本大震災とそれに続く原発事故によって日本が大きな困難に直面する中でスタンド・アップを迎えました。言うまでもなく、被災地の復興や被災された方々への支援と、国境を越えた貧困解消の取り組みをどのように両立できるかを真剣に考えました。しかし、これをどのようにキャンペーンに反映するのかはたいへん難しい課題でした。
宮城県に地縁のあるコピーライターの方とともに悩みながら「助け合うために 世界には たくさんの国があるのだと思う」という一文を考えました。これには、震災に際して途上国からも多くの支援が寄せられたことを思い、貧困や災害など困難に対して立ち上がる人々がつながり、お互いに助け合うことでよりよい世界をつくれるのではないか、という想いを込めています。
また、私たち「動く↓動かす」では、被災地と途上国のコミュニティがつながることが、震災復興と貧困解決を両立する助けになるかもしれない——途上国、例えば、南アフリカ共和国の旧黒人居住区で一軒一軒家々を回り、HIV陽性者の在宅ケアや自助グループの組織化を行い、孤立していた陽性者たちをコミュニティ・リーダーに育てた当地のNGOが持つ経験は、日本の被災地の仮設住宅での個別訪問などのヒントになり得るのではないかと考えました。そこで、宮城県石巻市の方々の協力も得て、南アフリカ共和国、スリランカ、イラクから、3名の途上国リーダーを招いての交流イベント「石巻国際まつり」をスタンド・アップに合わせて企画しました。
日本全国からの人々の「声」をリーダーに届ける
これらの取り組みの結果、2011年10月1日から17日に行った6年目のキャンペーンには、小中高校や大学、企業、ガールスカウトやボーイスカウトなどの市民グループ、そして個人の方々など、47都道府県から933件の報告が到着。3万1389人の「声」が生まれました。
この成果を日本のリーダーに届けるために、2012年2月8日には、藤田幸久財務副大臣との会合を行いました。参加者を代表して同席した岩手県立不来方高等学校3年生の高橋祥夏さんは、「被災した一人ひとりが苦しみや悲しみを一生抱えていく。でもこの辛さを克服して乗り越えることが私たち若者の使命であり、世界のあらゆる困難を救う強さに結びつけたい。日本から世界を変えていけると信じている」と自身の決意を表明。「動く↓動かす」からは、代表の津山直子が、被災地で聞かれた市民の声なども紹介しながら、日本政府によるMDGs達成の取り組み強化を要望しました。
貧困のない世界をつくるために、今、声をあげよう
MDGsの達成期限まであとわずか。2013年9月には、おそらく最後となるMDGs国連首脳会合が行われます。「貧困のない世界」を実現するために、さあもうひとふんばり。今年も多くの方々とともに、声をあげていきたいと思います。