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平和人権/中東

平和人権/中東2019/04/19

【アフガニスタン】子ども達の将来を思いながら・・・


「この人はね、恋愛結婚なんてしちゃったから、奥さんに頭があがらなくて、料理までするんだよ」と冗談交じりで話してくれたのは、アフガニスタンからきた2人の青年たちでした。26才と30才とまだ若いのですが、大家族で暮らすことが幸せな彼らは、既に数人のお子さんもいます。家族の写真を見せながら語る姿は幸せに満ちていて、うらやましいくらい。

 しかし、彼らのこれまで経験した苦労は並大抵のものではありません。

 たとえば30才のFさんは、ある日、息子が呼吸困難に陥っているから病院に連れていかないといけないと、仕事中に家族から電話があり急いで病院に向かいました。しかし、ちょうどその日に市内で爆破事件がおき、道路がいたるところで封鎖されていたため、思うようにたどり着けません。途中、息子さんを連れて出たお連れ合いとも合流しましたが、病院に着いたのは2時間以上経ってからのこと。加えて、爆破事件が病院の近くであったために、診療スタッフたちは全て避難していた始末。助けを求めて叫んでも誰も出てきてはくれず、息子さんはその場で息を引き取りました。

 このような悲劇はアフガニスタンの中では日常の出来事だと彼らは言います。今から40年近く前には旧ソ連が侵攻し、タリバンが統治し、テロ殲滅の名の元にアメリカ軍が空爆をおこない、その後も情勢が落ち着かず、数十年以上にわたって平穏が訪れることがなかったアフガニスタン。その中で、その影響を受けて苦しむのは、Fさんたちのような市井の人たちです。

 辛い経験をしつつも、前に進もうとしているアフガニスタンの人たち。「子ども達には同じ思いをして欲しくない」と繰り返し語る彼らからは、優しさと強さが伝わってきます。

 日本国際ボランティアセンター(JVC)は、現地の人たちと共に平和教育を行い、長老たちと議論を重ねて暮らしの改善を行うなど、様々な人道支援活動を10年以上続けてきています。まだアフガニスタンの社会は不安定です。過激派グループの影響も及び始めているとか。だからこそ、社会が安定することが大切。JVCは、アフガニスタンの人たちの声を受け止め、支え、共に歩みつづけています。(M)

この記事は、2017年に発行した「アーユス夏のしおり」からの転載です。