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平和人権/中東

平和人権/中東2016/02/19

シリア難民支援:エレベーターでも作ろうか


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在宅リハで、子どもと楽しくリハビリテーションをしているAMRのスタッフ

 昨日はアンマン市内における、在宅リハビリ活動についてまわった。JIM-NETのパートナー団体であるArab Medical Reliefのファーディさんと、運転手のアブ・モハマッドさん、そしてJIM-NETの福田さんとワシームさんとの合計5人。

 最初は、小児麻痺から下半身が不自由な10歳の少年。このリハビリを受けてから、歩けるようになったと言う。途中お母さんも登場。この後の後には、脊髄の関係の病気で下半身が不自由な少年のところを訪問した。なんとなく、小児麻痺関係の子どもが多いのはなぜかと思ってしまう。
 一方で、このように病気が元の障がいの場合、医療との連携が確立できると、PTの人たちももっと安心して治療できるだろうし、患者さん本人や家族にとっても治療方針を立てる上でも心強いことだと感じた。JIM-NETもそこは問題視しているので、今後、地元医療施設ともっと密接な関係ができることを期待したい。

 しかし、二軒目の訪問先の男性には驚かされた。ダマスカス郊外の別荘ではしごに登って高いところの修繕をしていたら、近くに爆弾が落ち、その影響で墜落して脊髄損傷。間接的であれ、戦争によって一生残る障がいを持ってしまったのだ。既に4年経過していても、下半身のみならず上半身の一部にも麻痺があり、リハビリをしている間も苦痛を訴えていた。しかし、この家庭、どことなく明るい。お連れ合いもにこにこと側に座って見守っている。
15jordan13 お連れ合いにお話を伺っていると、「彼は、以前は大工のようなことをしていたの」と言って、私たちを奥の部屋に促す。行ってみると、なんと鉄筋が組み立てられ、簡易なリハ設備が作られていた。上からはいろいろとぶらさがっていて、そのうちの一つはピンポン球。壁打ちの練習用らしい。
 息子と一緒に作ったとのことだけど、自分でできることを進めていける人なんだと痛感した。その前に、エレベーターが欲しいんだけど1000JD(約17万円)かかるから難しいと話をしていたのは、材料費のことなのだろう。たぶん、エレベーターも自分で作るつもりなんだと察した。
 彼らが今後どういう選択をするかはわからないが、どこに行っても自分たちでできることはやるんだろう。いやはや・・・。

 今回の訪問では、シリア難民の方々のほんの一握りの方とのふれあいではあった。けれども、内戦が彼らに与えた痛みの端っこなりを感じ、難民支援とはひとくくりにできないものだとも学んだ。3月に開催する中東の難民支援に関するイベントで、もっと深めたい。(M)