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平和人権/中東

平和人権/中東2016/02/17

シリア難民支援:シリアに戻る日を待ちつつ


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 今日は、アンマンから北東に1時間半ほど車で行った先にある、ザータリ難民キャンプを訪問。荒涼とした平地を車で走っていると、難民キャンプが白く浮かび上がってきた。コンテナでひしめき合っているそこは、最大時で11万人、現在はおよそ8万人が住んでいる。

AMRのクリニックの待合室。

AMRのクリニックの待合室。

 そこでは、Arab Medical Relief というヨルダンのNGOが、初期治療のクリニックを開設運営している。その場所に、理学療法センターを設け、JIM-NETはAMRと共に障害者支援も行っているのだ。

 

色とりどりの野菜が並ぶお店@シャンゼリゼ

色とりどりの野菜が並ぶお店@シャンゼリゼ

 難民キャンプに入ると、一直線に商店街が続く。通称、シャンゼリゼ。食料、衣類はもちろん、軽食やたばこ、日用品とありとあらゆる必需品が売られていた(たばこが必需品かどうかはともかく)。払い下げみたいな自転車やテレビも店先に置かれていたが、だだっ広いキャンプ内において、自転車は必需品だろう。  キャンプ内には、他に病院や学校もあるとのこと。

15jordan8 今回は、現在AMRとJIM-NETの支援により義手を作っている男性の家庭を訪問した。左腕の肘上から下に向けての義手ができつつある。彼の家は、2つのコンテナの間に屋根を貼り、うまい具合に二部屋の住処に作り直されていた。現在は、両親と弟と妹と、合計5人で暮らしているが、それぞればらばらと3年前からザータリキャンプに住むようになり、彼はシリア国内で負傷してから治療目的に逃れてきたそうだ。

 この一家は、ダルアーというシリア・ヨルダン国境沿いに位置する町から逃れてきた。この町は、政府に対するデモが盛んになり、政府軍が大がかりに突入したことでも知られている。そのために、ダルアーからの難民は多い。彼は、車の部品工場で働いていたそうだが、その工場もいまはない。住んでいた家は、破壊された姿で残っているそうだ。

 でも、これからどうするのか、漠然とでも考えはあるのかと聞くと、「キャンプから出ることはしない」という。もらえる食料チケットも一人あたり月20JD(4000円弱)と十分には思えないが、シリアが落ち着けば帰るのだからキャンプに残るという。  ヨルダンにいるシリア難民の方々の話からは、政府軍と反政府軍(自由シリア連合)の戦いのひどさと、それによって故郷を離れざるを得なかった憤りのようなものを感じることが多い。自国の政府に攻撃されることの不条理さは考えると思考麻痺を起こしそうだけれど、戦争ってそういう側面を常に持っているのだろうと、日本を振り返っても思ってしまう。(M)