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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2024/08/28

【8月】甲子園で当たる光


 今年の夏の甲子園高校野球。優勝経験のない学校が大健闘する大会となりました。中でも早実を破ってベスト8に進出した島根県代表の大社高校の活躍は、ふだん野球には興味がないアーユススタッフをも夢中にさせました。このスタッフによると、最後まで粘り強くプレーを続けた姿にも感動したが、地方の県立高校を出た者としては、同じく地方の県立高校は応援したかったとのこと。事実、夏の甲子園で公立高校が優勝したのは2007年が最後で、圧倒的に私立が優勢になっているのが現実です。

 さて、優勝した京都国際高校。校歌が韓国語なのが話題になりました。

 同校は前身が在日韓国人たちが設立した民族学校で、2003年に一条校として認可を受けるとともに校名を京都国際中高へ変更しました。現在は在校生の8割が日本人ほどになっていますが、日韓両国の高校卒業資格を取得できる特徴もある国際的な学校です。

 韓国語の校歌について、ネット上には少なからぬ反感と攻撃の書き込みがなされました。それに対して京都府西脇知事は会見で、「差別は許されない」とし、当該書き込みの削除をサイト運営者に要請したと語っています。さてその歌詞。訳を見ると「東海を渡りし 大和の地は 偉大な祖先 古の夢の場所」とあります。「日本海」を「東海」と呼ぶことが「反日」攻撃の一番の理由なようです。歌詞全体を見ても、そう思うのでしょうか。

 そもそも、京都国際高校を中傷すると、何か改善されることがあるのでしょうか。自身の苛立ちをぶつけているだけであれば、ヘイトスピーチにほかなりません。京都国際高校が優勝し、校歌が演奏されたとき、相手校の関東第一高校の応援席から手拍子が起きました。京都国際高校の小牧監督は涙がこみ上げてきたといいます。野球を介しての人間同士の温かみを感じたと、雑誌のインタビューでも語っていました。

 高校野球ひとつ取り上げても、つい強豪校の動向に目や関心が向きますが、全国を見渡すといろいろなところでドラマが展開されているのでしょう。 

 光が当たらないところに光を・・という思いは、ここでも温かさを持って響くようです。(アーユス)