月末に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説『スカーレット』。正直言って、放送の序盤では主人公の父親の毒親ぶりに辟易して脱落しそうになりましたが、回が進むごとにに作品世界の深みが伝わり、終わってみれば朝ドラ史に残る傑作とも思えるようになりました。
「スカーレット」は朝ドラの特徴の長丁場であることを生かし、あえて説明的なセリフを排除することで、より繊細な感情を表現することに成功したように思います。印象的なシーンを一つだけ挙げます。主人公·喜美子はいつしか元夫の八郎と再び心を通わせるようになります。ある日、喜美子が外出から戻ると、八郎が寒風の中、家の前で座っていました。「鍵開いてるで。中で待ってればよかったのに」と喜美子が言うと八郎は「ああ開いてた。気をつけないとあかんで」。八郎のために鍵を開けていた喜美子と、それに気づかず喜美子の不用心を心配する八郎。互いが互いを思っていながら、方向が少しずれています。2人の結婚が破綻したのもそれが原因でした。
二者の関係がこじれるとき、原因が悪意にあることは、実際にはあまりないように思います。それぞれの善意が悲しいことに行き違い、思わぬ望まぬ方向に転がってしまうことがほとんどではないでしょうか。そんな事態を回避するには、安易な思い込みに頼ることなく、丁寧な確かめを連続させるしかありません。
新型コロナの蔓延が続きます。特に東京ではロックダウンの可能性さえ想定されるようにもなりました。この事態にあたりアーユス事務局でもテレワークを始めとして業務形態の検討を進めています。いずれの手段を採用するにせよ、齟齬のない意思疎通による適切な業務遂行を心がけます。もちろんそれは、手段の問題ではないのでしょう。(アーユス)