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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/05/27

5/24 未来の水利用のあり方を考えるワークショップ


 東京で開かれたアジア砒素ネットワーク(AAN)主催の標記ワークショップに参加しました。AANがバングラデシュで2月に開催した「ガンジス流域の公平な水利用」に関するワークショップの報告や、AANがバングラデシュで17年にわたって取り組んでいる砒素対策とコミュニティ主体の水供給の活動について伺いました。

 バングラデシュをはじめ、インド、ネパールでは、地下水が砒素で汚染された地域が広がっており、その問題に解決に向けてAANなどのNGOや専門機関が長年にわたって取り組んでいます。現在では砒素に汚染された水から砒素を除去する方法など、代替水源の技術は確保されていますが、慢性中毒への理解不足や行政の機能不足、ジェンダーや宗教の差などの格差でアクセスできる層が限られていること、代替水源技術そのものが住民の手まで届いていない現実など、様々な問題があります。感染症の予防について熱心であっても、砒素中毒などの慢性疾患はすぐに影響が目に見える形で現れるものでないため、対策が後手に回っていることが挙げられます。また、貧しさから砒素に汚染されている水と分かっていても他に選択肢がなく、仕方なく使い続けないと生活できないという厳しい現実もあります。ジェンダーや宗教の違いという理由だけで公平な水利用が妨げられている事例もあります。このように、砒素をめぐる問題は様々な社会的・経済的な要因が絡み合っていて解決が容易ではないのが実情です。こうした課題を乗り越えるため、AANは現地のローカルNGOや行政機関などと協力しながら住民主体で行う計画的な水利用の仕組み作りに日々奮闘しています。

 当日は、日本における地下水利用の経緯と市民運動に関するお話や、未来の水利用のあり方を考えるディスカッションなども行われ、改めて私たち1人1人が安全の水は当たり前のように確保できるものではなく、先人たちの血のにじむような努力のおかげで得られていることを改めて痛感しました。今ある水資源をどのように後世に残していけるのか、考えるべき時に来ていると思います。AANの経験は、これからますます国内外の水供給の現場で活かされていくことが期待されます。

アジア砒素ネットワークのウェブサイト http://www.asia-arsenic.jp/top/