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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2026/04/02

【4月】「「違い」ではなく「共通する人間の営み」」


 3月22日、さいたま市で今年もネウロズが開催されました。ネウロズとはクルド人の新年を祝う行事で、クルド人が多く住むさいたま市では20年以上前から行われています。今年は1500人以上が楽しんだとのこと。
 民族衣装を身に纏い、輪になっての踊りや歌に興じる中、国や民族の境界に翻弄されながら生きる人々の現実が静かに語られました。世界中に3000万人といわれるクルド人は国家を持たず、歴史的に迫害や移動を強いられてきました。「国を持たない最大の民族」と呼ばれます。そうした中、日本で暮らすようになったクルド人へのバッシングは、近年になって突然増えました。その理由の多くはデマに基づいたものです。今回のネウロズにも、クルド人へ批判的な地方自治体議員による妨害行為がありましたが、差別反対行動が日本人も加わってなされました。
 日本で暮らすクルド人の存在はまだまだ十分に理解されていません。そこでお薦めの本が最近発刊されました。『月刊たくさんのふしぎ2026年3月号』(福音館書店)。特集は「世界でくらすクルドの人たち」。子ども向けの平易な語り口で、彼らの日常と尊厳を丁寧に伝えています。クルド人はいろいろな国でマイノリティとして暮らしています。「世界でくらすクルドの人たち」には、それぞれの国で、家族とともに暮らし、言葉や文化を守りながら生きているクルド人の姿が、金井真紀氏の温かい絵と文により描かれています。それぞれの国なりのネウロズがあることが知らされます。
 異文化や異なる背景を持つ人々に対し、無理解や排除の感情が向けられる場面も見られます。本書が示すのは「違い」ではなく「共通する人間の営み」です。まず知ること、そして想像すること。その積み重ねが社会のあり方を変えていくことを期待します。私たちに求められているのは、遠い世界の問題として眺めるのではなく、同じ社会に生きる隣人として向き合う姿勢です。(アーユス)