今月18日、リモートにより開催となった「アーユス・ボーズ・コレクション」。アーユスに関わりのあるお坊さんを紹介してきたこの企画、久々に開いた第4回の今回に登壇されたのは、このシリーズ初の女性、しかも僧籍もない。しかし仏教とアーユスに深く関わってきた瀬野美佐さん。アーユスのニュースレターのコラム「仏教エンタメ」や、季節のリーフレットの「仏教の小さなお話」の著者としてお馴染でしょう。
テーマは「多くの人を取り残している仏教界へ」。瀬野さんの目から見た仏教界や教団内の僧侶たちのもようを率直に語っていただきました。それが辛辣に感じた方もあったかもしれませんが、それは僧侶への期待と仏教への信頼があってこそ発せられたものです。
印象的だった発言満載だったのですが、そのうちから少しだけご紹介しましょう。
「私が思ったのは、男性のお坊さんってけっきょくは女性をちゃんと見てないんじゃないか、ということ」「おふくろとか、女房とか、子どもたちの母親とか、そういうフィルターをとおしてしか女性が見られない。リアルに今そこにいる『他人としての女性』の『対等な人格』ってものを見ることが出来てないんじゃないか」「女性が何かを実現するにしても、それは自分が許してやらせてあげてる感があるわけです。寺族さんが外で何か発言したり、本を刊行したりすると、それは『ご住職に理解があるんだね』なんてことを周りも言う。所有物だから、女は、男の」
今月は、オリンピック組織委員会の森会長が女性差別発言により辞任したこともありました。国内はもとより海外でも大変な問題視されたこの一件を、日本の仏教界ははたして問題とし得たかはまだ疑問です。SDGsは「誰一人として取り残されない社会」の実現を目標とし、多くの仏教教団がそこに賛同していますが、瀬野さんは「仏教界は多くの人を取り残している」と言います。取り残さないための第一は?「ちゃんと見る」ことでしょう。さて、「正見」の大切さを日頃説いている僧侶たちは、その言葉を自らに向けることは出来ていますか。(アーユス)