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その他の地域2019/10/24ツイート
台風19号による被害状況の視察へ
台風19号の被害状況や支援についての情報収集をするために、パレスチナ子どものキャンペーンの田中さんと一緒に10月21日月曜日に福島県の中通りをまわってきました。
訪ねたのは、伊達市災害ボランティアセンターと郡山市社協ボランティアセンターと、伊達市で農業を営むKさんと、ふくしま連携復興センターとNPOコースターのみなさんです。
ボランティアセンターでは、とにかく被災者の生活復旧支援が優先課題であり、ボランティアは大歓迎だということでした。泥かき、ゴミ捨て、清掃など、家族だけではやり切れない仕事を手伝ってくださる方を求めていて、たとえば心のケアなどの必要性は、一旦落ち着いてから高まるのではないかという話です。
伊達市梁川町を車で通ったところ、阿武隈川に近く土地が低くなっているところは、概ね浸水の被害を被っていました。梁川町は北部が阿武隈川と接しており、加えて広瀬川という支流が流れ込む合流地点があるため、そのあたりを中心に800世帯が被害を受けたということです。町中の一部はまだ道路封鎖されており、通れたところも、家の前にはゴミ袋や畳が積み上げられて、道路も町並みも黄色い埃で覆われているような状況です。道が登り坂になっても、同様の風景が見られたので、かなりの水量が町を覆ったことがわかりました。
同じく伊達市梁川町で農業を営むKさんは、桃を主力とする農家さん。東日本大震災の後、伊達市の南部にある「つきだて花工房」に農産物の線量を計る機械を支援したことをきっかけに知り合った方です。フェイスブックに、畑の状況をアップされていたのでお見舞いを兼ねて伺ってみました。Kさんの家は、遊水池の土手のすぐ下。遊水池の向こうには支流と阿武隈川の土手が見えるところ。幸いにも家はぎりぎり浸水は免れたそうですが、遊水池の先にある畑は冠水。大切に育てた桃の木がてっぺんまで水に浸かったそうです。
既に畑からはほぼ水が引いていましたが、刈り終わった田んぼには残っています。(田んぼって水はけが悪いそうです。水田ですものね)春菊は全滅、ニラなど生き残ったものは、洗って売れるようにしているところとか。桃の収穫期が終わった後だったのは、ある意味不幸中の幸いとも言えますが、過去の経験からも来年の収穫にどのように影響が及ぶかは、蓋を開いてみないとわからないそうです。現時点での被害総額が出なくても、中長期的に考えると大きな被害になる可能性があると考えると、被害の全体像というのは分かりづらく、そして時間が経たないと見えてこないことがたくさんあるものなのでしょう。
Kさんは、「自分よりひどい人はいるし・・・」と至って謙虚。自然と共に生きている農家さんだからこその強さとしなやかさがあるんだろうなと思いつつも、何か応援できることはないかと考えています。Kさん、農家仲間さんと情報交換をしながら、畑の再生に取り組んでいらっしゃいます。
ちなみにその後、二本松市の農家さんとも連絡をとったところ、やはり畑が水に浸かり、葉物はほぼダメになったそうです。根菜も、腐っていないことを願うのみ。
郡山市では、「ふくしま連携復興センター」と「NPO法人コースター」の方からお話を伺う機会を得ました。支援という視点を持って日頃から活動されているだけあって、現場のニーズがより切実に伝わるお話でした。たとえば、「助けを求めることができず、未だに濡れた畳の上で寝ている人がいる」、「職場は被災していないので出勤しないといけず、被災した家の片付けができないシングルマザー」、「罹災証明をとって提出したいが、車が水没して移動の手段がない」など、細かいスペシャルニーズを伺えました。
これは郡山市に限ったことではないのですが、今回の水害は、局地的な災害が広範囲に起きたというのが特徴の一つ。そのために同じ地域の中でも被災した方としていない方がいて、どうしても何らかの違いが生じてしまうのかもしれません。
郡山についていえば、中央工業団地が冠水したため、多くの企業が被害を被りました。今後の雇用問題なども心配されています。
今回の訪問で、まずはボランティアの派遣が急務だろうと思い、今後、アーユスとしては、他団体と共同でのボランティア派遣、また他団体の諸活動への資金協力を予定しています。また現場に近い団体からのスペシャルニーズも収集し続ける必要を強く感じています。(M・E)
P.S. 福島の中通りを訪問した翌日に、パレスチナ子どものキャンペーンのメンバーはいわき市を訪問。広範囲に及ぶ深刻な被害状況の報告を受けました。いわき市での活動を支えることの緊急性も知らされたところです。