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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/07/28

【街の灯トーク#4】ポストコロナに向けて、オンライン市民講座の可能性④


オンラインからリアルな日常へとつなげる

寺西 これを通じて、PARCがこれまで目指してきた「市民社会の強化」につながる実感はありますか?

また、オンライン講座をやっての利点や欠点など、年齢層が違うとかいろいろな地域の方が参加できるといういい面はあるのですが、実際に顔を合わせないことの難しさ、不満に感じられるところは?

内田 良かった点のほうが全体的には多いんですね。まずはこういう形でコロナの中でも市民のレベルでつながることができて、同じ情報を共有できているのは大きいと思います。途中で気づき始めたのは、オンライン講座というのはバリアフリーなこと。完全ではないんですけれども。たとえば障害を持っていて、電車に乗って講座にくるのは相当大変でも自分の部屋から参加できる方がいる。あるいは、若いお母さんとか。育児・介護で夜は家を出られない方でも、ご飯食べながら、ご飯をつくりながら、育児しながらでもラジオみたいに聞ける。その意味では、今まで参加が難しかった方でも参加ができるバリアフリーだと思います。あと、私たちが蓄積しているネットワークを生かして情報提供できるのは、やりがいがあることだと思っています。
 一方で実はこの2,3回くらい申込者数と参加者数は徐々に減ってきています。もちろん企画内容もあるでしょうが、基本的には緊急事態宣言も終わって、徐々に元の日常に戻っている感じはします。4月、5月に感じていたような、オンラインで情報を得ようという強い欲求はなんとなく拡散しているなと。
 私たちは、コロナでいろんな問題に気づいたわけですよね、経済の仕組みや、エッセンシャルワーカーの人たちが非常に過酷な状況の中で働いていることなど、いろんな現実が見えてきたわけです。それが何も改善されないままに、元の日常に戻っていくのが一番まずいなと思っていて、せっかくここでつながったネットワークやそこで得た気づきのようなものを、リアルな日常にどうつなげていくかが一番の課題かなと思っています。

寺西 今回、「危機を転機に」という大胆なタイトルをつけたのですが、PARCも長年活動する中で、社会を少しでもよくしようと訴え続けてきて、仲間も増えているけれども変わらないことも多かったと思うのです。でも、こういう大きな出来事があって、大きく負の影響を受けている人には失礼かもしれないけれど、これをPARCとしてどう活用し、その意識をどう持ち続けることができるかと、話し合ったりされていますか。

内田 そうですね、これはPARC自身の問題でもあり、私たちだけでどうこうできるわけでもない大きな課題なので、今日参加されているNGOの方々にもご意見を聞きたいところです。このコロナを経て、社会ができてこなかったことをきちんと振り返るべきだと思いますし、今後こういうそれぞれの活動をつなげて市民社会が力をつけるのは、大きな課題だと思います。

寺西 いろんな現場を持つNGOも、コロナに隠れて見えなくなっていること、知らないうちに進められてしまっていることの問題点を感じたりしているのではないかと思うんです。それらを取り上げて、発信していくのも自由学校の役割かなと、最近思っています。

内田 ありがとうございます。

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