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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/07/28

【街の灯トーク#4】ポストコロナに向けて、オンライン市民講座の可能性①


危機を転機に━━ポストコロナに向けて、オンライン市民講座の可能性

ゲスト:内田聖子さん(アジア大平洋資料センター:PARC)/ 聞き手:寺西澄子(アーユス仏教国際協力ネットワーク)
とき:2020年6月25日(木)

寺西 こんばんは。街の灯トーク第4回は、長年続いてきた市民講座を新たにオンラインでスタートした、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子さんをお迎えしてお話を伺います。今日はご自宅からのご参加ですが、ものすごい量の本がありますね。

内田 いやいやいやいや、すみません。

寺西 ではまず、内田さんご自身についてお伺いします。PARCには何年おられるのですか。

内田 20年近いですね。2001年にスタッフとして入りました。その前は社会運動系の出版社で書籍や雑誌の編集の仕事をしていて、PARCのスタッフや周辺の方をよく知っていたのですね。それで会社を辞めたときに、当時の事務局長から呼び出されまして、PARCで雑誌を担当する人がいないからと言われましてー。当時は契約書もなく条件もよくわからないまま、じゃあ行きますと言ってそのまま働き始めました。

寺西 最初は雑誌の編集から関わり始めたのですか。

内田 そうですね。長く、『オルタ』という雑誌を出していて、それを編集していました。今はウエブ媒体が増えて紙の媒体はストップしていますが。

西 PARCも歴史の長い団体ですね。

内田 PARCは1973年に設立された市民団体です。当時、ベトナムに平和を市民連合(ベ平連)という市民運動がありました。その中から国際連帯活動を中心にされていた人たちが小グループを作って『ANPO』という英文の雑誌を始めたんです。日米安保のアンポです。
 これは日本の市民運動や消費者運動、労働運動、あるいは三里塚の農民の運動などを英語にして海外に発信する国際連帯の強い媒体で、それが核になって団体を立ち上げた感じですね。そういう成り立ちもあるので、基本的に私たちは、いわゆる南と北、途上国と先進国と言ってもいいですし、今であればグローバルサウスとグローバルノウスという世界の格差や様々な課題を生み出す構造を市民の目線で調査し、世界を変えよう、誰もが平等で安心して暮らせる世界を作ろうと、日本社会にも伝え、国際機関、国連とかWTOやIMOなどにいわゆる政策提言活動をしてきました。
『バナナと日本人』という本を書いた鶴見良行さんは、我々の重要な創立メンバーの一人ですが、彼は40年前にフィリピン等の途上国からくるバナナという身近な食べ物から、農薬の問題や労働条件などを描きました。そういうモノから見える現実を調査したり、あるいは経済のグローバリゼーションを私たちはずっと追っているので、貿易のことを中心に、債務やODAなど、いろいろなイシューを扱っています。端的に説明するのはなかなか難しいのですが、こういう様々なグローバルイシューを日本の市民社会に伝え、ひとりでも多くの方とつながろうとしています。

 

市民の目線で伝え、語りあう場:自由学校

寺西 それらを伝える手段のひとつが、今回私たちの『街の灯』支援事業に応募いただいた「PARC自由学校」だと思うのですが、自由学校についてもご説明いただけますか。

内田 PARCができて10年目くらいに、一部の人だけ集まって議論していてもしょうがない、広がらない。多くの市民が参加する、いわゆる公教育とは違う市民の学校を作ろうとして始めました。どんな世代、どんなバックグラウンドの方が来てもいいし、いろんなテーマを学びあう。平日の夜にやっているので、仕事帰りの社会人の方、あるいはリタイアした中高年の方が来る。いろんな方が本当に毎年のべ300人くらい参加します。環境の問題、地域の問題、あと農業の実践クラスやダンスや語学、いろんな講座を毎年やっています。

寺西 自由学校はPARCにとって、多様な情報伝達と交換の場であると同時に、ひとつの収入源でもあるんですよね。これまでは、主に東京でのクラスに参加される方が出すお金だけで運営されていたんでしょうか。

内田 そうですね。遠方の方ともつながりたいと思っていますが、コロナ前は、人が集まって同じ空間を共有し、講師とも近い距離で、終わったあと飲みに行く時間も含めた場づくりにこだわりをもっていました。インターネットでやって欲しいという声もあったんですけれども、いいシステムもなく、基本的には東京の事務所でやっていました。今は、それは三密なのでできない。

寺西 そういう意味では、コロナに背中を押された感じのオンラインの講座ですが、はじめは驚きました、PARCが無料で自由学校をやっちゃうのか!と。NGOにいるからこその驚きかもしれませんが、どういう経緯で始められましたか?

内田 大きく3つの理由がありました。自由学校は、まさに3、4月が大宣伝月間なんです。とにかくいろんなイベントに行き、いろんな方にお願いします。それが今年は、COVIDの感染拡大がちょうどぴったり重なり、緊急事態宣言まで出て、集会もゼロになり、全く広報できなくなりました。もちろんとにかく命を守る、健康を守るということで、みんなステイホームしていて、そんなときに自由学校の広報をしても、先行きが見えないなかで、参加する気分になる人は少ないだろうと。それがオンラインでやる一つのきっかけでした。これは、どちらかというと内輪の動機ですね。
 2つ目は、1月末くらいからの状況を見ていると、日本政府が責任ある対応をしていないと思ったことです。たとえば、突然学校が休校になったり、感染者数の正確な数字が出てこない状況が続いたり、PCR検査が必要だと多くの人が思っているのに、なかなかなされない。なぜなんだ、と。不明瞭な状態で、みんなが不安になっていました。その一方で、それを跳ね返していくような市民社会からの発信や提言も、議論する空間そのものも相当縮小しちゃったなという感じがあって、これはなんとかしないといけないと感じていました。
 3つ目は、これはPARCの活動上から出てきた問題意識ですが、コロナは、中国から始まりヨーロッパやアメリカに広がったグローバルな問題なんですね。ただ日本のなかでは、グローバルな課題として捉えない。国境を封鎖すべきという議論はありましたけれども、人の移動や経済的な封鎖、ロックダウンなど、そういうことも全部含めて解決していこうという、国際的に開かれた議論の場に日本は追いついていないなと思って。3月くらいから海外では、NGOや専門家などがウェビナーを使ったオンラインセミナーをどんどん実践していました。コロナと貧困問題とか、コロナと農業の問題とか、コロナと公衆衛生とか、いろんなことをバンバン議論する場、こういうのを日本もやらないといけないなと思って5月1日から始めました。

 

 


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