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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/06/12

【街の灯トーク#1】難民としてコロナ禍の日本に暮らす⑥


難民としてコロナ禍の日本に暮らす⑥

コロナ前から日常がソーシャルディスタンシング ─── いつ終わるかわからない不安

枝木:ありがとうございました。では最後に、難民支援協会のほうからお話しされたいこと、メッセージがありましたらお話しください。

新島:はい。このコロナの感染が拡大し始めて、2月ごろだったと思うのですが、私がいつもお話ししているある方に、「ウィルスが拡大しているから、手洗いをして、うがいをして、できるだけ家にいるようにしてください」ということを伝えたんですね。そうしたら彼が、「いや、だいじょうぶですよ。それが僕の日常だから」って言ったんです。私たちにとっては、「人に会わない」とか「家に居続ける」ということが非日常で、平時ではない状況を数か月味わってきているわけですけれども、彼はべつに会えるともだちもいないし、家族もいないし、どこかへ出かけるためのお金がそんなにあるわけでもない。家にいるってことは、何の問題もないから心配しなくて大丈夫だよって、笑って言われました。その話を聞いて、ソーシャル・ディスタンシングなんて言っているけれども、彼にとってははからずもソーシャル・ディスタンシングがとれてしまっている。いや、ソーシャル・ディスタンシングなんてもんじゃなくて、単なるアイソレーション、孤立です。
 感染拡大防止するためにはそれを言わなくてはならなかったんだけど、私も「何か他に言い方がなかったのかな」って、すごく反省したんです。それはたぶん、難民の人たちだけじゃなくて、ほかにも多くいらっしゃって。私たちが非日常だって思っていることが、その方たちにとっての日常かもしれない、誰かにとっての日常かもしれない。
 時間についても同様のことを感じました。私たちはコロナウィルスのことがいつまで続くかわからない、この状況がいつ終わるかわからないという不安のなかで暮らしているわけですけれども、難民の人たちにとってはこれがやっぱり日常。難民申請の結果がいつ出るのかわからない、公的支援の結果がいつ出るのかもわからない。例えば収容されている人にとっては、収容がいつまで続くかわからないっていう状況に置かれている。それを私たちはいま、体験している。その状況にあるんだなってことを改めて思っています。
 コロナ禍が収束して平時に戻ったときに、私たちが難民だけじゃなくていろいろな困難を抱えている人たちにどう向き合っていくのかっていうことを投げかけられているんじゃないかな、と思っています。ちょっと難民とは離れてしまいましたが、そういうことを考えます。

枝木:胸に響きます。普段から私たちが、同じ社会に生きているんだけれども、どうみてきたか、存在に気づこうともしていなかったことを改めて突き付けられますね。

新島:はい、そう思います。

事務所でお渡ししている食料の一例。ムスリムの方も多くいらっしゃるため、豚由来の含まれないものなど、提供できるものは限られてしまうが、一人ひとりに合わせた食料提供を行っている。

枝木:本当に新島さん、ありがとうございました。
 今回の難民支援協会さんからのお話が象徴的だったように、このコロナ禍のなかで光のあたっていない方々がたくさんいらっしゃるのだということを、支援事業を通じても感じているところです。
現在アーユスでは、6事業に対して協力しております。こうして応援できる事業を増やしたいと思っています。息長く伝えていきたいことであるとも思いますので、さらにお金が集まれば、継続的に協力していくこともできるようになると考えています。ぜひご支援いただければと思います。
 次回は、「より厳しい人たちに届くように~南アジアでの経験から」ということで、シャプラニール=市民による海外協力の会という、長年バングラデシュやネパールで活動しておられるNGOより、小松豊明さんと勝井裕美さんにご登壇いただきましてお話を伺う予定になっております。
 また来週もいっしょに『街の灯』トークを味わっていただければと思います。
 新島さん、本日はありがとうございました。


60万円集まれば、もうひとつ、コロナ禍で光が当たらない人たちや課題に取り組む活動に協力することができます。ご協力宜しくお願い申しあげます。