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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/06/12

【街の灯トーク#1】難民としてコロナ禍の日本に暮らす④


難民としてコロナ禍の日本に暮らす④

助け合いの「つながり」すら断ち切るコロナ禍 ─── 続ける相談業務

枝木:何か具体的な事例などをご紹介いただくことはできますか。

新島:そうですね、もともと相談に見えていた方ではありますが、1回目が不認定で2回目の難民申請をしているので在留資格を失い、仮放免という立場で生活している方がおられます。その方も知り合いから2千円、3千円と本当につらいときだけもらっていながらも、ご自身もガスや電気が止まらないように、毎月「この月はガス、次の月は電気」と使い分けて何とか生活していました。それがいつも相談している方がコロナで仕事を失って、お友だちの援助を得られなくなってしまい、ガスと電気も止まっている状態だと連絡を受けました。しかも食べ物も何もない、お米がもう少しだけ、と連絡を受けたので、通常はやっていないのですが、スタッフで手分けして八百屋さんなどで買い出しをして、箱に詰めて送りました。
 あと、仮放免の状態で生活されている方が、アメリカだかヨーロッパだかから毎月1万円を送金してもらって生活していたのに、その知人もロックダウンの状態になってしまって、送金のために銀行に行くことができないと言われたと。それで、食べ物もないという相談を受けたので、食べ物をお送りしました。

枝木:本当にぎりぎりのところまで追いつめられている方が多いですね。

新島:はい、難民の方の特徴には、コミュニティに助けを求めることが難しいことがありますね。とくに私たちの支援対象者はアフリカの方が多くて、アフリカといっても50カ国以上あります。日本に既存のコミュニティがある方もいらっしゃいますが、もともと日本にいる人数が少ない上に、例えば大使館関係者の方とか国費留学生とかの体制側、つまり難民の方たちに迫害を与えていた当事者側にいる関係者がコミュニティにいる可能性があるので、既存のコミュニティに助けを求められないということも難民の大きな特徴かなと思います。

枝木:きついですね。それで唯一助けを求めることができていたモスクや知人たちにもアクセスが難しい。これまでつながりで生きていた人たちが、つながりすら絶たれてしまったという。

新島:本当に、ひととのつながりで何とか、糸くらいのつながりだったかもしれないですけれど、それがプツリと切れてしまったことで、綱渡りしていたギリギリの生活が途絶えてしまっている状況にあると思います。

枝木:そのなかで、食べ物をパッケージで送ったりしたとのことでしたが。具体的に、難民支援協会でされていることをもう少しお話しいただけますか。

新島:私たちは、特に生活支援で言いますと、来日直後で右も左もわからず、持ってきたわずかなお金も底を尽きてしまって今日寝る場所がない、食べるものがないという方に支援を提供しています。シェルターの提供とか、持病を抱えている方や、日本というこれまでとは全く違う環境でストレスを感じながら生活しているために体調を崩される方とかを医療機関に橋渡しするとか、本当にわずかなのですが入管に行くための交通費を支給することもあります。
 コロナの状況を受けて、新たに入国される方は全くいらっしゃらないのですが、今まで綱渡りで生きてきて、モスクに泊めさせてもらっていたのが出なくてはいけなくなってしまい、2-3千円程度の安いホステルを探して、泊まっていただくとか、私たちが借り上げているシェルターが空けばそこに入っていただくといった、住居支援が3月中はとても多かったです。モスクなどから出なくてはならなかった方々の波が今は少しおさまっていて、おさまったかなと思っているところに、仕事をもって自活しておられた皆さんがだんだん解雇される、時短を与儀なくされているというような相談を受けるようになりました。休業手当などは受けられると思うのですが、貯金をもてるほど多くの収入を得られているわけではないので、その間に食べるものがなくなってしまったということで食糧支援や、マスクやアルコールの提供をしています。マスクも、汚れて黒くなったのやアイマスクを替わりに付けていらっしゃる方がいるくらいでした。あとは、職を失ってしまった方の就職活動のお手伝いもしています。

事務所に来訪された方に食料の提供を行っている様子

枝木:新たに来られる方はいらっしゃらなくても、これまでつながりのある方に支援をされるだけでも大変ですし、難民支援協会の皆さん自身も感染予防に気を付けながらされていたはずですから、本当に大変だったと感じます。

新島:はい、私たちも3月に入って今後事務所をどうしようか、相談業務をどうしようかと話し合いましたけれど、初めから「閉める」という選択肢は全く考えていませんでした。ただ、難民の方々は、ストレスがあり、栄養状態のよくない、時には野宿なども強いられている。そういった免疫がとても下がっている方々と私たちは接するわけなので、スタッフ側が無症状の感染者である可能性を考えて、まずは難民の方々に私たちから感染させない、ということをいちばん気にかけてやっているところです。
 あとは、難民の方たちがさらに困難におかれることは予想していましたし、難民支援協会からはしばらく離れていたけれども、やはり相談したいと思って何年ぶりかにコンタクトをとったのに、私たちが閉まっていてどこにも誰にも相談できなかった、というようなことだけは避けたいなと。一人であっても、久しぶりであっても、相談に来ようと思った人たちがいるかもしれない、いま週二日しか開けてはいませんが、閉じずに開けておくことの意味があるだろうと「閉じる」という選択はしませんでした。

枝木:これまで対面での相談業務はしていたけれど、今回、オンラインなど別の方法での協力の仕方も出てきたと伺いましたが。

新島:そうですね。私も少し古くさい昭和な人間なのかもしれませんが(笑)、やはり相談業務というのは、その人が話すことだけじゃなくて、どういう服で来たとか、どんな表情で事務所に入ってきたかとか、そういうこともすごく大切なことなので、オンラインだと話すだけになってしまって見過ごしてしまうのではないかなぁと思っていました。でも実際にやってみて、思っていたよりはうまくいっているかなと思っています。ひとによっては自分の情報がオンラインにのってどこかに拡散されてしまうのではないかといったことを懸念する方もいらっしゃるので、私が毎回話している方でも、相手が新島だとわかっていても、オンラインがどう拡散して漏れてしまうかわからないから話さない、とおっしゃる方もいらっしゃいましたね。

枝木:そうでしょうね、これまでもそういうことが原因となって苦労されて逃げてきた、という方々でしょうからね。

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