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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/06/12

【街の灯トーク#1】難民としてコロナ禍の日本に暮らす②


難民としてコロナ禍の日本に暮らす②

日本に来てからの長い道のり ─── 一筋縄にいかない難民申請

枝木:紛争や人権侵害から身を守るために逃れてきた人たち、ということですね。では、いま日本にはどれくらいの人たちが逃れてきているのでしょうか。

難民申請及び認定数の推移


新島:
日本に暮らす難民の人たちは、いま、全体であらわすと約4万人、3万7千5百人くらいいると言われています。日本政府に難民申請している方々は、このグラフであらわしていますが、だいたい1万人くらい。最近ですと、2017年の約2万人がいちばん多かったのですが、ここ数年は1万人くらいです。

枝木:毎年、1万人くらいが申請されているということですね。

新島:ただ皆さんご存知の方も多いと思いますが、そのうち認められた方は、2019年は44人なので、G7や韓国などの難民認定数・難民認定率との比較でみると、カナダの56%を筆頭にほとんどが二ケタの認定率であるにもかかわらず、日本は1%以下というのが毎年続いている状況になります。

枝木:認定が受けられなかった方はどうされるのですか。

新島:日本では2018年から新しく運用が変わったのですけれども、一回難民申請をして不認定になった方は、難民の再申請をすることができます。もしくは弁護士さんがいらしたりする場合には不認定だったことをもって訴訟をすることもできます。しかし訴訟をしたとしてもとても長い道のりで、しかも勝訴するのもたいへん難しいです。難民の再申請をしても、もともと在留資格(ビザ)を持っていた人たちも、再申請をすることによってビザを失ってしまうため、働いて何とか自活していた方も、ビザも失い、就労資格もなくして、まったく収入を得る手立てがないままに難民申請の結果を待たなくてはいけない状況に追い込まれるのです。

枝木:だいたい申請をしてから認定を得るまでに、どれくらいの時間がかかるのですか。

新島:2019年ですと、平均で34.9か月ですので、だいたい3年くらいかかります。ただ、法務省でも迅速化を進めているにもかかわらず、訴訟まで及んで難民認定をされた方のなかには10年かかったという方もおられますので、これはあくまで平均の数字ですし、認定を受けた方の数字なんです。長く待っていたけれど不認定だった、ということも多くあるわけです。

枝木:認定を受けるまでの方々というのは、いったいどういう生活をされているんでしょうか。どういう庇護を受けられるのでしょうか。

難民申請者への公的支援

新島:この公的支援の一覧を見てください。私たちのところにいらっしゃる方は来日直後の方が多いのですが、難民申請者の方に対して難民事業本部という団体が、外務省の委託事業としておこなっている生活費の保護措置の支援があって、その支援を受けて生活される方もおられます。ただ、難民申請前は公的支援の対象外になるので、難民申請を入国管理局に出したあとに難民事業本部に保護措置という生活費の支援を申請することになります。すぐにもらえるわけではなく、申請の結果が得られて受給ができるようになるまで、平均で36日かかると言われていて、私たちが知っているなかでは半年かかった方もいらっしゃいます。本当にお金が100円しかない、数十円しかない、という困窮した状況で公的支援を申請しても審査が進まず半年も待つことになると、その間、さらに困窮することになるために、ホームレス状態になる、食べるものがなくなる、入国管理局に行かなくてはならないのに交通費もない、というような状況に追い込まれるので、主に公的支援を受給するまでの間のギャップを埋めるために私たちも支援をしています。

枝木:この表を拝見すると、中には就労できる方もいらっしゃるわけですね。

新島:はい、一番下の就労というところを見ていただくと、先ほど2018年に新しい運用が始まったと申し上げましたが、難民申請をした直後の2か月の間に振り分けがなされることになったんです。   ABCDと4つのカテゴリーに申請書類をもとに振り分けられることになったのですが、一番多いのはDカテゴリーで、ここに振り分けられると難民申請してから8か月でようやく就労許可を申請できるようになります。なので、日本に来て右も左もわからない、日本語もわからない、誰も知り合いがいないという状態のなかで8か月、就労許可が出るのを待つ、その間に公的支援の申請をして何とか生活する、という状況にあります。
 また、在留資格がなくなってしまった時点で、難民申請をしていても退去強制手続きが同時に始まります。一方では難民申請をして、日本に「助けてください」と言っているのに、もう一方では、「あなたはオーバーステイ(超過滞在者)だから、在留資格がないから送還に値するかを手続きのうえで判断します」ということが並行して進んでいく。手続きが終わった時点で、「日本にいる理由がないので、退去強制令書を出します」という結論になることもあります。

枝木:「全申請者のうちどれくらいが経済目的、偽装難民のようなものと考えているのか」というご質問もきています。そういう方々は、入管で送還されるのですか。

新島:まったく、難民の定義に当てはまらない方もいらっしゃいます。数字ではっきりとはわからず申し訳ありません。ただし、難民該当性がない方であっても、ご本人は本当に恐怖をもって逃れてきておられて、経済目的で難民申請の制度を濫用しようとして来ているわけではない方もいます。
 そういう方の相談を受けた場合は「難民条約に当てはまらないために残念ながら該当しないので、申請をしたとしても認定されないと思います」ということは、ご本人には伝えます。「支援の対象者には当たりません」ということをお伝えすることもあります。

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