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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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平和人権/中東

平和人権/中東2014/12/24

パレスチナ:平和を紡ぐ市民の連帯を目指して


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平和を紡ぐ市民の連帯を目指して

 2014年の7月~8月にかけて、パレスチナ・ガザ地区(以下ガザ)では2007年の封鎖以降4度目となる、イスラエルの軍事侵攻があった。50日に及ぶ攻撃により、パレスチナ人2,269人が亡くなり、1万1千人以上が怪我をし、民家13パーセントが壊される最悪の事態となった(11月末現地国際NGO発表)。雨季でもある冬を迎えた今でも避難所で生活する人は2万人とも言われ、1千億円かかる復興費用の目途も半分以上立っていない。また、根本的問題であるイスラエルによるパレスチナ占領や、ガザの封鎖問題は棚上げのまま、復興には20年の月日がかかると言われている。このような状況で、ガザの友人たちは落胆しながら、「どうせ復興前に次の戦争があるだろう」と更に悲しいことを言っている。/p>

西エルサレムの様子

西エルサレムの様子

 つい先週、イスラエル人の運転するタクシーに乗る機会があり、純粋に疑問に思っている事を聞いてみた。「パレスチナの占領をやめられないのか?国連が定めた通り土地をわけあって仲良く住めばいいじゃないか?」。そうすると、「600万人のユダヤ人がまた殺されればいいと思っているのか?」という怒りに似た答えが返ってきた。自分たちがやっている破壊や占領の正当性を、第2次世界大戦中のユダヤ人大虐殺に結び付ける。「ガザの過激派は、自分たち(イスラエル)が、その気になれば数時間でガザ全土を壊滅できることを知らないんだ」とも言っていた。確かにその通り、原爆さえ持っていると言われるイスラエルにしてみれば、10キロ×40キロの狭いガザに閉じ込められた180万人を皆殺しにするのは技術的には簡単かもしれない。「生かしている理由を(ガザの人は)考えるべきだ。ひとえに平和を望んでいるからだ」と言っていた。

 ガザの人々は勿論、平和と自由を望んでいる。しかしガザ側の武装勢力は、今回の戦争中封鎖の解除と占領への抵抗、その他もろもろの思いを込めて、イスラエルにロケットを発射し続けた。これによって亡くなったイスラエル側の民間人は6人。交わりそうにない並行した平和へのアプローチを目の当たりにして愕然とすることが多々あるが、その度に、イスラエル-パレスチナ大衆両者の、或いはそれぞれの大衆と政治家の思惑にまとわりつく、見えない溝を埋める事の重要性を意識する。JVCは、こうした溝が深まる中、ひとり1人の市民のつながりや非暴力の精神の普及を目指している。政治的な取り組みがされない限り現地の根本的な問題は解決されない。但し、市民の連帯は政治に囚われない平和を紡ぐ可能性を秘めている。そう信じて、活動を続けている。(日本国際ボランティアセンター 金子由佳)