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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/06/13

6/12 「コットンの未来をつむぐ会議」


 児童労働の問題に取り組むNGOのACEが主催するイベントに参加しました。6月12日は「児童労働反対世界デー」。現在ACEが事務局を担う「ストップ!児童労働キャンペーン2013」(6/1〜6/30)の賛同イベントとして開催されました。参加者は70名ぐらいで特に大学生やアパレル業界の関係者の姿が目立ちました。当日はACEが取り組むインドのコットン生産現場での児童労働の現状などが報告され、児童労働をなくすために、企業・NGO・生活者に何ができるのか、それぞれの立場からゲストが話し、最後にワークショップで参加者1人ひとりがアイデアを出し合うという中身の濃いひとときとなりました。

 児童労働とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことを指します。現在世界では2億1500万人の子ども(全世界の子どもの7人に1人の割合)が児童労働をしていると言われています。2004年と比べて700万人減少したそうですが、減少幅が小さすぎるのが実態です。世界のコットンの生産国では100万人以上が児童労働に従事しています。インドは約38万人で、そのうち45%が14歳未満で約70%が女子だそうです。ACEは、児童労働をなくして子どもの就学を支援するため、住民や親への児童労働や教育についての啓発活動、働く子どもたちが学力を身につけて公立学校に通えるように支援するプログラム、また、学校施設や教育の質を改善する取り組みも行っています。さらに、女の子が将来自立した生活を営めるように基礎教育と縫製等の技術が身につけられるような支援も行っています。

 オーガニックコットンは年々生産量も伸びて普及が進んでいるものと思っていましたが、意外にも少しずつ生産は減少しているとのこと。逆に、GMOコットン(遺伝子組み換えワタ)の生産は伸びているようです。オーガニックは手間暇がかかり高価になってしまうため、どうしても大量生産が可能なGMOコットンに太刀打ちできないのかもしれません。

 それからウズベキスタンで児童労働が特に深刻になっているという報告に関心を持ちました。コットンの生産量は世界第7位ですが、独裁体制の国の主導のもとで生産が行われており、地域ごとに割り当てがあるそうです。そのノルマを達成させるため労働状況が過酷になっていて、200万人もの子どもが労働に駆り出されているとか。ILO(国際労働機関)の査察を拒否しているためその実態がよく分からないようです。いまウズベキスタンのコットンの不使用を呼びかける国際的なキャンペーンも行われています。

 いまは「ブランド」がサプライチェーン(原料の生産・調達から、製造・物流・販売までを含む、製品やサービスが作られて消費者に届くまでの全プロセスのつながり)で起きている問題の責任を負うのが一般的になりつつあり、予防のためのコスト負担も求められる時代になっています。当然そのブランドを購入する消費者にとっても、児童労働で作られた衣料品を購入することが児童労働を知らずに支えてしまうことにつながるという意識を持つことがとても大切です。自分が好むブランドがどのような立場で児童労働に向き合っているのか、環境に負荷を与えない商品作りをしているのか、オーガニックコットンを積極的に活用しているのかどうなのか、いろんな側面から消費者として厳しい目を向けていく必要があるといえるでしょう。