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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2020/07/30

【7月のメッセージ】技術にも血が通う


「すべての物にはひびがある。そして、そこから光は入る」「欠陥は、あなたが貢献するための招待状」 
 39歳にて台湾でデジタル担当政策委員(大臣)を担当している、オードリー・タンさんの言葉です。新型コロナ禍に自身のアイデアでインターネットを駆使し、国内の影響を最小限に抑えるなど、「天才プログラマー」として日本では知られているかもしれません。
 タンさんは、中学を退学してインターネットの世界で学びを深めました。そこで、物事を進めていくには大まかな同意と徹底的な透明性、誰でも参加できる場づくりが重要という気づきを得ます。
 学びが生かされ、そして政権に入るきっかけとなったのが、2014年に起きた「ひまわり学生運動」。当時の与党が進めようとした台中間の貿易協定に対して学生が立法院議場を占拠した抗議運動です。問題視されたのは協定の内容とともに、決定プロセスの不明瞭さでした。その時にタンさんはインターネットのシステムを駆使して、様々な主張をする人たちの議論を活性化させ、それをすべて公表することで透明性を打ち出しました。その結果、抗議活動は平和裏に収束し、政府側も対話とそれを公開することに意義を見出すようになります。それが現在、タンさんが政権で活躍していることにつながっています。
「以前は、政治は職業政治家のものでした。でも、ひまわり運動の後は、政治的な行動に関心があることはとても『クールなこと』になりました」とタンさんは語ります。台湾でも、ほんの数年前までは少なくとも政治風土に関しては日本と大差がなかったことが伺えます。それをタンさんは「公共エンジニア」として開かれた政治の道具となるシステムを作り、情報の透明性を高めて、主体的な参画を促しつつあるのです。
 どんな課題についても、反対と賛同があり、その立場や理由は多様です。同意を生み出すのは至難ですが、利害関係を超えた多様な対話を持ち、それを公開することが大まかな同意につながることを今の台湾は実証しています。「話し合い」というアナログな手法が、デジタル技術の利用によって新たに活かされています。そう、デジタルかアナログか、あれかこれかという選択ではなく、両者を活かし合う道を探るのは、奇麗ごとではなくむしろ現実的な志向と思います。(アーユス)