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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2020/02/26

【2月のメッセージ】正しく怖がること


202002 新型コロナウイルスの蔓延はまだ終息の兆しもみえません。十分な予防措置と警戒は当面必要です。
 中国の武漢で、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されたのが昨年末。武漢はその後、年が明けて1月末に封鎖されました。
 日本国内では中国人への警戒が湧き上がります。「中国人お断り」とした飲食店が複数あったことが報じられています。2月初めには、イタリア・ローマのサンタチェチーリア音楽院で、学長がアジア人の学生へのレッスンを禁止する措置をとりました。ローマから出ていない学生に対してです。八王子の郊外の町では、ある日突然ドラッグストアの前にマスクを求める長い行列が出来るようになりました。その前日にダイヤモンド・プリンセス号から下船した乗客の一人が町内の住民だったと噂が広まったことが原因のひとつでした。2011年にアメリカで公開された映画『コンテイジョン』の宣伝コピー、「【恐怖】は、ウイルスより早く感染する」の状況が再現されたのでした。
 「恐怖」と「不安」は人の行動原理のかなり上位に置かれます。未知の事態に対して恐怖や不安を持つことは正常なことです。それらを持ちつつどう動くか。「闇雲な恐怖」の対義語は「怖がらない」ではなく「正しく怖がる」です。不断の関心と丁寧な対応が求められます。それを忘れ、「無知」や「独断・思い込み」によって問題を排除することは、その根源の解決にならないばかりか問題の温存もしくは隠避につながり、結果として助長することにもなります。それは病気に限ったことではありません。                                      (アーユス)