投票率48.80%と、過去最低だった1995年の44.52%に次ぐ低水準だった今年の参議院選挙。盛り上がりに欠けた、予想通りの結果との評もありましたが、そうでしょうか。
低投票率だったにもかかわらず、固い組織票を持つ自民党が議席を9つも失いました。一方、組織基盤のない「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」が議席を得たのみならず法律上の政党要件を満たしました。変化の兆しとも見られます。投票者の政治軽視の結果かもしれません。「れいわ」と「N国」の選挙後の動向を見ても、今回の選挙がターニングポイントだったとこの先に振り返る可能性は少なくないと思います。
とりわけ、れいわ新選組の選挙戦略は見事でした。今回の選挙から、比例代表に導入された「特定枠」。選挙区の合区により不利になりそうな候補者の救済が主眼目であったこの制度を、れいわ新選組は重度障害を持つ二人の候補者のために活用し、党首を3番目に置くという挙に出ました。それは党の覚悟を示すと同時に、重度障害を持つ国会議員の誕生によりさまざまな改革が急速に進むことを容易に想像させるものでした。「当事者の声を拾い代弁する」のではなく、「当事者自身が直接発信し、政策を実現させていく」議会の実現に自分が参加できるという思いが投票の動機付けになったことは確実です。
また、新元号の発表にあたり、いちはやく「れいわ」を党名として届け出た策略も見事でした。野暮なことを百も承知で、キャッチーであること以上に、改元気運にのって一新したような政治アピール手法を他党に許さなくしまったのですから。
政治団体としてのれいわ新選組にはこれからも注目していきたく思います。彼らの姿勢は、自らの主張を理想論で終わらせず、きちんとした裏付けとともに説得しようというものでした。加えて、相手都合のシステムを逆に利用するしたたかさ、自らの主張を未支援者に届く形で発信する配慮、寄付をしたくなる募金法など、NGOとして参考になりうる点が多くありました。それを活かせる自分たちであるか。自分たちの現場でできる工夫はあるか。従来の活動様式と思考に囚われている自分たちではなかったか。れいわ新選組の躍進を問いとして受け止めます。(アーユス)