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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2026/02/02

【2月】ジュディやニックから学ぶこと


 アニメーション映画「ズートピア2」が大ヒットしています。
 ズートピアは、様々な動物がそれぞれの特性のままに生活する都市です。
 警察官のウサギのジュディとキツネのニックは不審な税関職員の潜入捜査を行う中で、ズートピア内にはいないはずのヘビの皮を発見します。ズートピアには多様な動物が生活しているのに、爬虫類はいません。昔、1匹のヘビが凶悪な事件を起こしたことにより、爬虫類は皆、追放されたままなのです。つまり見つけたのは不法滞在者の痕跡。ジュディとニックは爬虫類の捜査を進める中で、ズートピアの真の歴史を知ることとなります。
 実はヘビは、あらゆる動物が共存できるズートピア創建の功労者でした。しかし陰謀により事実は改竄され、悪者にでっちあげられ、住む土地も奪われたのです。ジュディとニックは、ヘビの名誉と土地を回復させるために奮闘するのでした。これらの設定からは、現実世界でかつて行われたり、今も進行している歴史修正主義、アパルトヘイト、領土拡張主義、排外主義、ウクライナ侵攻などにより、苦難を強いられている人びと、特に世界各地の先住民たちやパレスチナの人びとなどが連想されます。
 「ズートピア」「ズートピア2」の秀逸な点は、主人公も差別や偏見から自由ではないという点です。ジュディもニックも、無自覚的に相手を傷つけてしまうことがあります。主人公たちはしくじりながら、迷いながら、それでも目の前で呻吟する人びとのために踏み出すのです。
 映画の着地点はちょっと甘く感じるかもしれません。しかしそれは観客の無い物ねだりというものでしょう。課題を課題として提示してくれただけで拍手ものです。こんなに骨太のテーマで子ども向け作品を仕上げたことに敬意を覚えます。この作品を支持する人びとが世界中にいるという事実。特にその多くが子どもたちだということには、将来への希望を感じずにはいられません。(アーユス)