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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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エンゲイジドブッディズム

エンゲイジドブッディズム2020/06/30

【6月のメッセージ】考え続けることは自粛しない



photo by Rasande Tyskar

 アーユスではこの6月から、「『街の灯』トーク」と題して、オンラインでの連続セミナーを実施しています。登場していただいているのはアーユスが「コロナ禍を乗り切るための支援」をしているNGO関係者ですが、テーマがタイムリーなこともあってか、概ね好評をいただいています。

 セミナー内容については対談の様子をネットに上げていますのでそれをご覧いただくとして、反応の良さには主催者の予想を超えるものがありました。毎回数十人の参加者をいただいていますが、おそらくはリアルにセミナーを開催したらこれだけの方はお越しいただけなかったでしょう。発題者への質問も数多く寄せられます。これも、ネット経由ゆえの敷居の低さが作用していると思われます。

 それになんといっても、全国各地、いや海外からも参加いただけるのは主催者にとっても最大の魅力。地理的な境界を楽に越えて集い、意見を交わせるのです。閉会後の懇親会ができないなど、まだまだ課題もあり、すべてをオンラインに置き換えることはできません。それでもオンラインでのセミナー開催は、新型コロナ禍が収束しても通常活動の中に今後も採用されることになるでしょう。コロナ禍の前からオンラインを求めてきたのにその願いを聞き届けられなかった、たとえば障害者の方々にとっては、やっと少しバリアフリーが進んだということになるでしょうか。後退させないようにしたい一歩です。

 しかし一方で、オンラインを活用できたのは特権とも言えます。外で働かざるを得なかったエッセンシャルワーカーたち。インターネットにつながる環境を整えられない人たち。安心して家にいられない人たち。オンラインだけで解決できないことは、たしかにあったのです。

 オンラインは、身体的に自粛しないといけないときに、心を外出させ、人と繋がる手段になりました。同時に、新しい方法に甘んじていると根本的な解決にはつながらない危険性も見えました。平穏なときに戻ったときにそれを忘れてしまうのではなく、良くなったことが元通り悪くならないように、不足だと思ったことが改善する方向に働きかけられるように、考え続けることは自粛しない所存です。(アーユス)