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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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福島/脱原発/東日本

福島/脱原発/東日本2013/04/19

エネルギーと原発のことを考える教材完成!


 去年の12月になりますが、開発教育協会から『もっと話そう!エネルギーと原発のこと~参加型で学び合う16の方法』という、エネルギーや原発について考えるための教材が発行されました。アーユスは資金面で協力。

 教室や市民による学びの場で活用できる16の参加型学習のプログラムと、中学・高校、大学、教員研修での5つの実践事例を収めています。原発停止をめぐる様々な意見を読み比べたり、新聞記事を読んで自分の気持ちを話し合ったり、あるいは、身近なテクノロジーの利用について規制が必要かどうかを議論する16の教案が収められています。

 去る、3月30日には、この教材を使ったワークショップとシネマの上映会が開催されました(またまた、アーユスは協力団体として参加)。 まずは、原発停止をめぐる意見~様々な意見を読み・くらべるアクティビティ。浜岡原発の停止を巡り、御前崎市長や経団連会長など7人の関係者の意見を読みながら、原発に否定的な意見や肯定的な意見を見つけ、そしてどの意見に共感できるのかを考えました。出された意見は多様なもので、必ずしも否定的な人ばかりではなく、どちらかというと肯定的な意見を出す方もそれなりにいらっしゃいました。原発は危ないとわかっていても、いろいろな立場を考えると一筋縄に否定もできないのでしょう。

 次に『ゆうだい君の手紙』のアクティビティ。毎日小学生新聞に掲載された「ゆうだい君の手紙」とは、ゆうだい君という東京電力で働くお父さんを持つ小学生の投書です。ここでは、この手紙についての感想を話し合いました。このアクティビティに関していうと、現代書館刊の『僕のお父さんは東電の社員です』を参考にしてください。この本を読むと、福島第一原子力発電所の事故が、多くの人たちにいろいろな意見や考えや思いを抱かせたがことがよくわかります。今回のアクティビティは、「ではあなたならどう感じる? どう考えるの?」という問いかけを投げかけてくれ、改めて自分自身に問い直すいい機会を与えてくれます。

 そして、ドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』の視聴。フィンランドのオルキルオトは、原子力発電所から出される高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場の建設が決定し、巨大な地下都市のようなシステム作りが始まっています。そこは一定量がたまると封鎖され、二度と開けれることはないといいますが、それが10万年の間も保たれるのでしょうか。文字も言語も変わるだろうという長い時間の間、間違って開けられることはないという保障があるとは考えられません。

映画『100,000年後の安全』

 この映画から、原子力発電所が出される廃棄物は、現在だけではなく未来何万年にもわたって環境や人々を脅かすことがわかります。皮肉なほど映像は美しく、現実のものとは思えないくらい。でも、確かに起きていることです。

 日本は、ここでいう高レベル放射性廃棄物を使用済み燃料ととらえ、再処理を施して、もっと危険度が高い廃棄物を作ろうとしています・・・。

 映画のあとは、振り返りのアクティビティを行って終了。教材ではいろいろなアクティビティが紹介されていますが、今回は特に原発を巡る「多様な意見」について考える時間となりました。反対といってもその理由は多様であり、賛成の意見の背後にある状況も多様です。その多様さに目を向けることは、これからのエネルギー作りについて考えることに必要なことでしょう。そして、自分が考えをいいにくい環境ではなく、ぶつけあう、話し合う。この教材は、そのような場作りのお手伝いができます。ご関心のあるかた、アーユス開発教育協会にご連絡ください。