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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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福島/脱原発/東日本

福島/脱原発/東日本2017/12/04

スタディツアーで気仙沼を訪問しました


 毎年恒例のアーユス国内スタディツアー。今年は、一泊二日の日程で気仙沼を訪問し、現地で被災者への支援活動を続けている日本国際ボランティアセンター(JVC)の活動地を中心に、JVCスタッフのご案内のもと、東日本大震災から6年半余りが経過し、復興に向けて日々変わりつつある気仙沼の現状を見てきました。

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 まず目に飛び込んできたのは、津波と火災で壊滅的な被害を受けた気仙沼漁港の周辺地域で、嵩上げ工事が急ピッチで進められている光景でした。地元で一番の産業でもある漁業は政府の支援もあって、真っ先に復興が進み、震災前の水準近くまで漁獲高は回復しているそうで、漁港は活気であふれていました。一方、漁港と隣接する地区は嵩上げ工事中ということもあって、復興はまさにこれからというところ。生きていくための糧は何とか得られるようになってきたものの、生活そのものが安定するまではさらに長い年月が必要なことを感じさせられました。

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 また、災害公営住宅や高台に移転した住宅地を見て回りましたが、特に災害公営住宅は入居が順調に進んでいるとはいえず、肌寒い天候の中で見学したこともあって少し寂しげな様子で、周りにある店舗も数えるほど。嵩上げ工事が終了したところから家屋や店舗の建設がようやく始まるために、しばらくは両方の工事の音が鳴り響く中での生活を余儀なくされる人が大勢います。一方、高台に移転した住宅からは、様々な困難を抱えながらも、新たな生活の基盤を築き始めていることが伝わってきました。但し、この場所に移り住めるのは比較的恵まれている人たちと思われ、隣接する地域の間である種の「格差」が生まれてきていることを実感せざるを得ませんでした。

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 陸前高田にも足を運びましたが、こちらは防潮堤の工事に加え、嵩上げ工事が広範な地域で大規模に行われていて、まさに見渡す限り、復興のためのありとあらゆる公共工事がおこなわれているという印象。復興後の新しい町の完成予想図を見ましたが、全てが完了するには10年から20年はかかるのではないかと思われるほど気の遠くなるような壮大な計画で、完成したときにはもはや住む人はいなくなっているような状況にならなければいいなと思わずにはいられませんでした。

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 震災から6年半余りが経過して、活気や賑わいを取り戻している人たちがいる一方、復興から取り残されている人たちの苦悩はより深刻になっているように思われ、10年後にどのような社会になっているのか想像が付きませんでした。今は復興にかかる予算があって公共事業も盛んに行われていますが、それらがなくなったとき、震災前から指摘されていた少子高齢化や産業の空洞化の波が一挙に押し寄せるのではないかと心配されます。だからこそ、JVCのような外部団体の働きかけによる住民主体の地域づくりがますます重要になっていることを痛感しました。

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