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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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福島/脱原発/東日本

福島/脱原発/東日本2014/01/31

3a! 安全・安心・アクション in 郡山の野口さんにお話を聞く


 1月30日に、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)と日本ルーテル教団の主催で行われた、市民放射能測定所ダイレクトリーの完成披露&ベラルーシ報告会に参加しました。

 ベラルーシ訪問の報告を行ったのは、「3a! 安全・安心・アクション in 郡山」の野口時子さん。3a!とアーユスは、2012年4月にJIM-NETの紹介でお付き合いが始まり、アーユスは現在まで活動資金の一部を支援しています。3a!は、郡山で子どもの未来を想うお母さんたちが集まって、子どもたちが少しでも安全に安心して暮らせるように情報を集め、専門家や有識者から様々な意見やアドバイスを聴いて話合い、学びあうことを目的に結成され、西日本の安心野菜の取り寄せ販売や、健康診断の費用補助、野菜や果物・食肉などの放射線測定、保養情報の提供などの活動を行っています。今回野口さんは、チェルノブイリ原発事故の被災者への医療支援を行っている日本チェルノブイリ連帯基金の訪問ツアーに同行して、特に放射能汚染がひどかったベラルーシのゴメリ市周辺を訪問されました。

 ゴメリはチェルノブイリ原発から150キロ離れていますが、周辺の59村が放射線量が高いため廃村となり、28年経った現在も立ち入り禁止区域では、0.3から0.428mSv/hを記録しているそうです(ゴメリ市内では0.08mSv/hぐらい)。地元の保健機関ではホールボディカウンターで随時全身検査が行われていて、2万人弱の検査結果をデータベース化して常に健康状態がチェックされているそうです。ありとあらゆる検査機器が揃っていて、1万ベクレル以上の値を記録した人は病院で厳重に管理される体制も整っているとのこと。一方、ゴメリ市内の自由市場では、検査済みの食品でないと販売できないようになっていて、市民はあらゆる公共施設で食料等を持ち込み手軽に検査できるようになっています。但し、検査時間は5分ほどで、基準値を超えたら市場に出さないとすぐに判定するなど、検査態勢はかなり効率化されているようです。

 健康診断は年に1回は誰でも受けられるようになっていて、子どもたちは年2回(計3ヶ月)の保養が学校単位で行われています。郡山の学校では保養についてはほとんど語られておらず(というか、あえて保養の必要性が声高に語られないように抑えられているようです)、ベラルーシとの違いを強く感じたと野口さんはおっしゃっていました。

 野口さんが一番ショックを受けたのが、15才の時に原発事故で被爆した女性の「住み続けた方がパニックにならない」との発言。現在子どもが20才と15才になっているものの病気になったことがなく、健康に暮らしているとのことでした。同じことを他の人からも異口同音に聞いたそうです。この3年余り、いつ避難しようかと迷い続けながら様々な理由で郡山に居続けている野口さんにとって思いも寄らない言葉だったようで、気持ちの整理がつかないまま帰国の途についたとのことでした。

 放射能のことや保養について自由に語られているベラルーシと、なるべく原発や放射能の問題が取り上げられないようにと押さえ込もうとしている日本とのギャップ。「住み続けた方がパニックにならない」との発言が出たのには、原発事故を踏まえての健康診断や保養、放射線検査などの対策が地元政府によってきちんと講じられてきたことが強く影響しているように感じました。今の食品などの汚染状況、健康被害の度合い、将来に向けての展望など、こうしたことが判断できる数値がきちんと公表され住民が把握できているからこそ、このような発言が出るのだと思います。これに対して日本の状況はどうなんでしょうか。都合の悪い数値は意図的に隠されているのではないか、福島の原発事故のことはなるべく早く過去のこととして封印しようとしているのではないか、さまざまな疑念が湧いてきます。このままでは、原発事故から28年後のいまのベラルーシと、今から25年後の福島には決定的な違いが生じてしまうように感じます。つまりは、原発事故の教訓を活かしたのか活かせなかったのか。CIMG9966 のコピー