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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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福島/脱原発/東日本

福島/脱原発/東日本2014/04/24

自然エネルギーを取り入れる有機農業の将来像とは


 2014年4月22日に二本松市市民交流センターで開催された二本松有機農業研究会のドイツスタディツアー報告会に参加しました。2011年の福島第1原発事故後、二本松も放射能汚染にさらされ、有機農家にも深刻な影響がありました。幸いなことに二本松の有機農家が生産する農産物からは放射線量はほとんど計測されませんでしたが、以前からの顧客が離れ、風評被害もあって経営的にも心理的にも大きな痛手を被ったとのこと。こうした中で、当時アーユスが支援していたNPO法人APLAと出会い、2012年4月から全6回にわたって「福島百年未来塾」が開催されました。これをきっかけに、研究会内で再生可能エネルギーの可能性について追究していきたいとの声が上がり、エネルギー部会が立ち上げられ、再生可能エネルギー導入の先進地であるドイツの事情を学ぶために今回のスタディツアーの実施となりました。なお、スタディツアー実施にあたっては、APLAからの呼びかけをもとにアーユスもその趣旨に賛同し、経費の半額を支援しました。

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 今回のツアーは、農業者が関わる再生可能エネルギーの取り組みについて学び、農業者の自立のあり方を考えることを目的としていました。視察先は、廃炉が決定しているドイツ最大の原発、バイオガスプラント2ヵ所、エネルギー協同組合リーダーのレクチャー、ビオホテル(オーガニックホテル)の宿泊とオーナーのレクチャーなど。参加者は、至る所に太陽光パネルが設置されていて、発電用の風車やバイオガス設備が充実していることに目を奪われたそうです。また、エネルギー協同組合の設計思想がしっかりしていて、資金調達と還元の仕組みが整っていることにも感心。ビオホテルのオーナーのぶれない設計思想とビオホテルに転換して価格を高くしても客足が2割アップしたとの話に驚いたとの声が聞かれました。そして、何と言っても今回のツアーでの一番の収穫は「自分たちもやればできる」という確信を得られたことだったそうです。

 今後、再生可能エネルギーの取り組みを具体化していく上で大切な視点として4つほど挙げられました。①集まって取り組む、②ビジョンを明確にする、③小さなプロジェクトを成功させる、④ローテク・ミドルテクを見直す。こうした視点をもとに、みんなでアイデアや知恵、資金を持ち寄り、やりたい事を明確にして目標に向かって突き進み、喜びも苦しみもみんなで分かち合っていきたいとの抱負が語られました。

 アーユスにとってもこうした二本松有機農業研究会の取り組みに気づかされること、学ぶことがたくさんあったと思います。特に、物を育てることを生業とされている方々と今回の報告会を通して交流し、その方々の思いを共有することが出来たのは大きな収穫だったと思います。今後も研究会の方々とつながりながら、よりよい社会の実現に向けて行動を共にしていきたいと考えています。

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