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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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福島/脱原発/東日本

福島/脱原発/東日本2012/12/17

アーユス福島スタディツアー報告②


 スタディツアー2日目の11月28日は、南相馬市で活動する日本国際ボランティアセンター(JVC)が活動する場所を中心に見て回りました。その道中、飯舘村を通過しましたが、車内でも1.30マイクロシーベルト/h以上を記録するなど、放射線量が依然として高い値であることを実感しました。所々で道路のアスファルトを引き剥がす除染作業を目にしましたが、気の遠くなるような年月が必要だと感じられました。

 

 南相馬ではまず地元の仮設住宅でサロン活動を展開する「つながっぺ南相馬」の今野由喜さんの案内で、今年4月に警戒区域が解除された小高区を訪問しました。今でも夜間出入りすることは許されておらず、解体業者・工事関係者、地元の人が片付けに入る以外は人気がなく異様な雰囲気。駅前の駐輪場に放置されたまま草で被われた自転車や被災したままで放置されている店舗、解体作業中の家屋などが目に飛び込んできました。海岸に近づくと至る所に乗用車の残骸や津波で一階部分が吹き抜けのままになって放置されている家屋が目立ち、1年半以上も経った今でも深刻な被害の爪痕が残されていました。

 

 次に小高区の人たちが現在暮らしている鹿島区の仮設住宅を訪問し、「つながっぺ南相馬」がサロン活動を行っている集会所を訪問しました。ちょうど昼時であったため、お弁当を食べながら仮設住宅の住民の方々からここでの暮らしについて話を聞きました。それによると、ここの仮設住宅はご近所の人たちがそのまま移り住んでいるため、以前と変わらないようにコミュニケーションを取りながら過ごしているとのこと。一坪菜園で野菜作りに励み、集会所では民謡教室やカラオケ、輪投げなどさまざまな行事が定期的に行われているそうです。別の施設では、折り紙を使った素敵な飾り物が作られていて、天井からつるされた色とりどりの作品に参加者も驚嘆の声を上げ、我先にと買い求める光景が見られました。

 

 最後に災害FM「みなみそうま災害エフエム」を視察し、震災直後に開局してから今日に至るまでの体制・番組作りの変遷や情報発信で特に心がけていることなどを運営責任者の今野聡さんに伺いました。当初は南相馬市の震災関連の情報をそのまま伝えるだけでしたが、次第に被災者の体験談や若者の声などを紹介することに力を注ぎ、柳美里さんなどの著名人の協力を得て南相馬の今を伝える番組を充実させてきたとのこと。特に反響が大きかった民謡などバラエティに富んだ番組を放送するようになり、最近では1時間に3通もの便りが届くことがあるなど、被災者の心の支えになっているとの実感が得られるようになっています。今後は、コミュニティFM化に向けた取り組みに力を入れるそうですが、それに向けた体制作り、運営費・人件費の捻出方法など課題は山積しています。今野さん曰く「よりよいまちを作っていきたい」との思いを胸に、今日も南相馬の人たちに必要とされる情報を発信し続けています。

 

 アーユスは上記の活動をJVCを通して間接的に支援しています。今回のスタディツアーでは、福島の人たちと交流し、その生の声を聞くことを目的としていました。いろいろな意見・考えを伺うことができましたが、共通していたのが誰もが福島という土地を愛し、困難な状況にありながらもよりよい地域にしていきたいとの熱い思いを持っていることではなかったかと思います。放射能汚染に直面しつつ、1日1日を懸命に生きている人たちと出会い語らうことができたのは、アーユスにとっても大きな財産になったと思います。今後も福島の人たちとともに持続可能な新たな社会作りを考えていきたいと思います。