アーユス賞
第2回アーユスNGO新人賞(2014年度)
金子由佳(かねこ・ゆか)さん
特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業担当
◆授賞理由
JVCパレスチナ事業のガザ現地調整員として、2012年夏からほぼ毎月パレスチナのガザ地区へ入り、NGOとしての支援活動を行いつつ、パートナー団体のスタッフやボランティア、支援の受け手の人たちと等身大の人間同士として信頼しあい、共に行動する関係を築いてきました。その類い希な行動力、発信力、共感力はパレスチナの人たちから絶大な信頼を得ているといいます。今年起きたガザ戦争でも、金子さんは現地の人たちに寄り添いながら、現地からの声を日本に届け、連帯のアクションに奔走しました。そして停戦後、日本のNGOスタッフとして真っ先にガザに入り、被害を受けた当事者の声を伝え続けました。こうした金子さんの行動力、発信力、そして何よりも「一人の人間として寄り添い行動し続ける」という彼女の信念は、多くの若手NGOスタッフの見本であり続けることでしょう。
◆金子さんからのメッセージ
アーユス新人賞を頂き誠にありがとうございます。受賞について大変恐縮しておりますが、今回の受賞は2014年7月-8月のガザ地区へのイスラエルからの軍事攻撃の際行った緊急支援の活動を深く考慮頂いた上でのことと認識し、ガザ現地で命を懸けて活動したガザの現地スタッフ44人への功績とその活動への名誉として、あり難く頂戴したいと思います。引き続き傾聴の姿勢を大切に活動したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
田口裕晃(たぐち・ひろあき)さん 特定非営利活動法人名古屋NGOセンター
◆授賞理由
学生時代から市民活動に積極的に参加し、一般企業に入って社会人としてのスキルを磨いた後、環境NPOでのボランティア活動を手始めに、幾つかのNPO/NGOでボランティアスタッフを経験しながら、現在は名古屋NGOセンターで開発教育/国際理解教育、NGO向け研修、スタディツアー事業などに携わっています。田口さんの優れているところはネットワーク型NGOのスタッフとして不可欠なファシリテーターとしての能力及び調整力を備えていること。また、様々なNPO/NGOを経験していることから分野の垣根を超えたネットワークの推進にも大きな役割を果たしています。名古屋地域における貴重な男性NGOスタッフであり、今後は名古屋地域のNGOのみならず、日本全体のNGO活動を牽引していく人材として期待されます。
◆田口さんからのメッセージ
このような素晴らしい賞をいただけたこと、本当にうれしく思っています。大きな励みとなりました。初心を忘れずに仲間と共にこれからも活動を続けていきます。
今後ともどうぞ、よろしくお願いします。
野川未央(のがわ・みお)さん 特定非営利活動法人APLA
◆授賞理由
野川さんは、海外での活動において現地の住民の中に溶け込み、現地の住民の視点やニーズをもとに国際協力をどのように進めていくべきかを考えています。特に、コーヒー栽培だけに頼っている東ティモールの山岳地帯の零細農民に対して、環境保全も視野に入れたアグロフォレストリーの導入を提案し、フィリピンの柑橘栽培地の農民の技術を東ティモールに伝え、オレンジワインの生産を通して、農村女性の新たな収入創出に結びつけています。また、日本国内でも、グローバル化が進む中で世界が直面している食や暮らしの問題を発信していく場を広げ、持ち前の明るさ、活発さ、優しさで多くの人たちをつなげています。野川さんは2011年度から3年間アーユスのNGO組織強化支援事業の支援対象者でした。アーユスが様々なことを野川さんから学ばせていただいたように、今後も国際協力を志す多くの人たちに夢と希望を与え続けることでしょう。
◆野川さんからのメッセージ
NGO新人賞を授与していただきましたことに、心から感謝申し上げます。アーユスの皆さん、共に活動する仲間、そして日頃からサポートしてくれている多くの皆さんに対して、感謝の気持ちでいっぱいです。
賞をいただき、わたしをこの仕事に導いてくださった恩師の故村井吉敬先生の言葉を改めて思い出しています。それは「とにかく現地の人たちと友だちになりなさい」という言葉です。東ティモールのコーヒー生産者の方たちと一緒に地域づくりに取り組んでいますが、どのような方法で何を「支援」するのか、ということはもちろん、それ以上に、彼/彼女たちに「友だち」として受け入れてもらえているか、「友だち」としてどのように共に歩んでいけるのか、それを常に忘れずに、今後も活動を続けていきたいと思います。