アーユス賞
2024年度アーユスNGO大賞(茂田賞)受賞者
村井雅清さん
◆授賞理由
村井さんは、NGO/NPOによる災害支援分野におけるパイオニア的な存在として、阪神・淡路大震災以来、30年余りにわたって、災害現場の最前線で活動されてきました。そのずば抜けた行動力と、人を惹きつけるおおらかな人間性は、災害で困難に直面する人たちに勇気と希望を与え、その存在そのものが心の支えにもなってきました。また村井さんは、日本国内のみならず、海外で起こった災害でも率先して現場に向かい、コーディネーターとして支援活動に取り組んできました。
とりわけ災害の現場で見落とされがちな、人と人との新たな関係性を築くことや、人の生きる力を引き出す支援に取り組んできたその姿は、今後も多くの人の記憶にとどまり、語り継がれていくことでしょう。
ここに、村井さんの長年にわたる災害支援の活動に心から敬意を表し、これまでの活動で得られた知識や経験をより多くの人に伝え続けていただくことを期待して、アーユスNGO大賞(茂田賞)を授与します。
◆村井さんからのメッセージ
此度2024年度アーユス「NGO大賞」(茂田賞)を頂きありがとうございました。私たちにとっては、阪神・淡路大震災から30年という節目にこのような名誉ある賞を頂いたことは望外の喜びです。そして30年前の阪神・淡路大震災で前理事長の茂田真澄上人さんが神戸に駆けつけて下さり、神戸市の墓苑に行かれ、震災で亡くなった方々を荼毘に伏し、ご遺族の方々と共に供養されたことを思いだし、ご縁を頂いたものだと感無量でした。
さて、阪神・淡路大震災でのボランティアの活躍が称賛され、ボランティア元年という言葉が生まれました。その功績を背景に、災害対策基本法にはじめてボランティアの重要性が書き込まれました。しかし、あれから30年を前にした2024年元日に能登半島地震が発生しましたが、あの時のような多彩なボランティア現象はなく、何か役に立ちたいという誰にもある“心根”を被災者に寄り添い、届けることができなかったということです。
あの時、マスコミはじめあらゆる団体や個人からも称賛され、「市民活動の萌芽」だとも評価された「ボランティア元年」の意義は何だったのかと、思い知らされました。30年を機に、あらためて災害救援ボランティアとは?と難題を突き付けられたような心境です。
ボランティア元年の意義は、「一人ひとりに寄り添う」「最後の一人まで救う」という思想が根底にあるからだということを忘れることなく、また松本智量理事長が受賞理由として読み上げられた過分なお言葉を胸に刻み、これからも活動して行きたいと思います。ありがとうございました。