文字サイズ

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

会員になるには

アーユス賞

2023年度アーユスNGO大賞(茂田賞)受賞者

郭辰雄さん

◆授賞理由

  郭さんは、大阪生まれの在日コリアン3世として、確固たる人権意識のもとに、在日コリアンの権利獲得にとどまらず、日本や韓国で人権が踏みにじられている普遍的な問題に声をあげ、その解決のために奔走してこられました。また、朝鮮半島にルーツをもつ子どもたちが、自らの民族の歴史・言語や文化などを学ぶ機会を提供し、在日コリアンをはじめとするマイノリティの人権を保障するための政策提言や啓発活動に取り組んできました。
 アーユスとは、2001年から3年間、「NGO組織強化支援」の支援対象者として、人権意識を育む視点の大切さや、在日コリアンをめぐる様々な問題を学ぶ機会をもたらしてくださいました。郭さんの発言は、鋭く同時に温かく日本社会を問いただすものです。 また、在日コリアンに対する憎悪をあおるSNSの投稿に対して断固とした抗議活動を展開するなど、ヘイトスピーチを許さない姿勢は多くの支持を集めており、「ダイバーシティ」をキーワードとした多民族・多文化共生社会の実現に向けた取り組みは常に注目を集めています。 今後もより良い社会をめざして、私たちが現状に甘んじることがないよう導き励ましてくれることを期待して、アーユスNGO大賞(茂田賞)を授与します。


◆郭さんからのメッセージ

 コリアNGOセンターは在日コリアンの人権団体として2004年から活動をおこない、これまでの20年間で大阪コリアタウンの教育プログラムでは全国から15万人以上の学生、市民を受け入れ、在日コリアンや大阪コリアタウンについて理解を深めると共に、互いを尊重し「ちがいを豊かさに」できる多文化共生社会につながる学びを提供してきました。またヘイトスピーチをめぐっては在日コリアン当事者団体としてその根絶のために、多くの日本市民とともにとりくみ、2016年にはヘイトスピーチ解消法につながりました。
 こうした活動を振り返れば、苦痛を生み出している社会の課題に対して人々が真摯に向き合い、繋がりあうことでたとえ一歩ずつでも社会を変えていくことができると感じさせてくれる歩みでした。
 いま世界は戦争の時代でアジアも例外ではなく、まだ戦争が終結を見ていない朝鮮半島でも緊張が高まっており、朝鮮半島での衝突は日本の戦争に直結します。私たちは日本市民とともに戦争につながる一切のものに警戒し、反対していかなければならないと思います。また少子高齢化が進む日本の現実を見れば、これからの外国につながる人たち、ちがいを持つ人たちとの共生はますます重要な課題となっています。 今回の受賞はこれまで共にしてくださったすべての人々の思いが評価されたものであり、そしてこれからも「人権」「平和」「共生」をめざすコリアNGOセンターへの大きな期待と激励をいただいたものと受け止め、受賞に心より感謝申し上げます。