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第4回アーユスNGO大賞受賞者（2016年度）

田中好子さん

◆授賞理由

　田中さんは、「パレスチナ子どものキャンペーン」設立に参加して以来、30年以上にわたって、パレスチナ自治区やレバノンの難民キャンプで、子どもたちの教育、人権、保健医療、女性や障がい者の自立などの支援に携わり、戦乱で多くの人たちが困窮した時はいち早く緊急人道支援を行ってきました。その活動を突き動かしてきたのは、パレスチナやレバノンで様々な抑圧を受けながら、特に困難を強いられている幼い命を何とかしたいという真摯な思いであり、不自由な難民生活を余儀なくされながらも、故郷に帰れる日を夢見て前向きに生きていこうとするパレスチナの人たちの願いに心を打たれたからではないでしょうか。
　田中さんはこうした現実を知ってしまったからこそ、目を背けることなく、自らの人生をかけてパレスチナの人たちの過酷な現実と向き合ってきました。アーユスがパレスチナと関わりを持つきっかけを作ってくれたのは田中さんです。田中さんを通して、アーユスは中東における分断の歴史や宗教と社会の関係性などについて学ぶことができました。
　パレスチナの人たちが抱える困難に寄り添い、その比類のない情熱と行動力をもって問題の解決に向けて取り組む田中さんの姿は、今後も多くのNGO関係者の希望となり続けることでしょう。 　ここに、田中さんの長年にわたるパレスチナでの支援活動の功績を称え、本賞を授与します。

◆田中さんからのメッセージ

　大変名誉ある賞をいただきまして、茂田理事長はじめアーユスの会員・理事の皆様、事務局の皆様に心からお礼を申し上げます。今回は個人の名前でいただいてはおりますが、パレスチナ子どものキャンペーンの活動に対して、またそれを長年支えてこられた会員・支援者・理事会、そして職員全員に対する功労をいただいたと感謝申し上げます。
　さて世界中で格差と分断が進んでいます。そしてその影響を一番受けているのは子どもたちです。子どもは生まれる場所を選べないからです。
　パレスチナ人だから、シリア人だから、イスラム教徒だから、ユダヤ教徒だから、家が貧しいから、ガザに生まれたから・・・。その結果、移動の自由がない、職業選択ができない、高等教育を受けられない、入国が拒否される、住んでいるところから追い出される・・・。
　アメリカンドリームはもはや存在せず、日本でも格差が固定化しています。国籍、宗教、民族、階層、経済状態、文化、教育、生まれた場所等によって、子どもたちの将来がほとんど決められてしまう社会は未来を作ることができません。
　パレスチナ子どものキャンペーンは日本の市民のささやかな団体ですが、人口の過半数が15歳以下の中東地域で、理不尽な状況に生きる子どもたちのためにこれからも支援を続けます。また中東地域の混乱の元であるパレスチナ問題の平和的な解決を目指して、日本国内での活動を続けます。
　パレスチナと中東の平和と未来のために、これまでも一緒に活動をしてくださったアーユスの皆様、2017年もどうぞよろしくお願い申し上げます。