アーユス賞
第3回アーユスNGO新人賞(2015年度)
坂口志保(さかぐち・しほ)さん
特定非営利活動法人ACE 経理・総務 チーフ
◆授賞理由
ACEは、代表と事務局長の経営トップ2人が同年度に産休と育休を取得するなど、職員が妊娠や出産を迎えた後も安心して働き続けられる環境を整備する必要がありましたが、坂口さんは、総務・経理部門のチーフとして、これらの体制整備や組織の信頼性向上のための実務を担ってきました。また、組織がチームとしてうまく機能するために、各職員の様子を良く観察し、職員間のコミュニケーションの質を高めるためにも、重要な役割を果たしてきました。国際協力NGOは海外で活躍するスタッフにスポットライトが当たりがちですが、坂口さんのような存在が組織運営の屋台骨を支えているといえるでしょう。
女性職員が多く働くNGO業界において、次世代のリーダーとして、これまでの経験が大いに活かされることを期待して、本賞を授与いたします。
◆坂口さんからのメッセージ
このような賞をいただきありがとうございます!
管理部門にも光をあててくださったアーユスさんに感謝申し上げます。
スタッフ一人ひとりがイキイキと本来の事業に専念できるよう、これからも管理部門としてACEを支えていきたいと思います。ACEでできた良い事例は他団体とも共有し、より早く世界が平和で、人々が安心して暮らせる社会を実現できたらいいなと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
鶴木由美子(つるき・ゆみこ)さん 特定非営利活動法人難民支援協会(JAR)定住支援部 コーディネーター (コミュニティ支援担当)
◆授賞理由
日本でも難民問題への関心が固まる中、難民支援協会は難民への直接支援を行う一方、難民と難民が居住する地域をつなげるコミュニティ支援活動にも力を入れてきました。鶴木さんはその活動の立ち上げ期から担当者として、地域との信頼関係の構築に取り組み、地域の難民のニーズに対応しながら、地域内の理解者を増やし、協働を引き出すための活動を展開してきました。こうした取り組みは、辛抱強さと根気が必要ですが、鶴木さんは5年先の地域コミュニティの姿を描きながらコツコツと草の根の活動を積み重ね、医療現場で医療機関と難民等の外国人住民とのコミュニケーションを円滑にするツール開発(メディカルカード)の事業等に結実させています。
こうした経験を今後のNGO活動を担う若い人たちに伝えていきたいという彼女の思いをアーユスとしても応援していきたいと考え、本賞を授与いたします。
◆鶴木さんからのメッセージ
この度は、名誉な賞をいただきまして、本当にありがとうございます。私は学生時代の様々な経験を通じて、将来NGOで活躍したいと志しました。しかしいざ飛び込んでみると、試行錯誤と壁にぶつかる日々、そして志が折れそうになる日々でもありました。これからキャリアを積み重ねる上で、このような賞をいただいたことは、大きな道しるべとなりました。今回の受賞を激励と受け止め、難民が社会の一員として活躍できるよう、明日からもさまざまな課題に取り組んでいきたいと思います。
手島正之(てしま・まさゆき)さん 特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン エルサレム事務所現地代表
◆授賞理由
国連職員からNGO職員に転職した手島さんにとってパレスチナは初めての場所だったのも関わらず、2014年のイスラエル軍による侵攻で大きな被害を受けたガザでいち早く緊急支援を開始し、持ち前の指導力で、物資配布、心理サポート、爆撃で負傷した数百人の子どもたちのリハビリテーションを行いました。また、自らのイニシアティブでガザの閉塞した環境の中で精神的な病を抱える青少年のための活動を始めるなど、団体にとって新機軸を打ち出すことに貢献しています。
さらに、イスラエルの平和団体と協働でベドウィン支援を始めるなど、そのアクティブな活動は常に他のNGOからも注目されており、今後さらなる活躍を期待して、本賞を授与いたします。
◆手島さんからのメッセージ
まだNGOでの経験が浅い私にもこの栄誉ある賞をいただきまして大変有難うございます。しかし、これは当会のスタッフや事業地で紛争後のガザの緊急支援をしている現地スタッフや提携団体、ボランティアを含めた関係者すべてのたゆまぬ努力の結果であり、決して一人では受賞しえなかったことであると心から思います。自らも人道危機の被害をうけたのにも関わらず、紛争中から今まで休むことなく被害者の救済や支援に努めているガザのすべての人々に敬意を表し、ご挨拶とさていただきたいと思います。
萩原宏子(はぎはら・ひろこ)さん 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)カンボジア事務所調整員
◆授賞理由
萩原さんは、シャンティ国際ボランティア会に入職以来、アフガニスタンやカンボジアで事務所マネジメントや現地スタッフへの指導、他団体とのネットワークの構築、アドボカシー活動等に貢献し、所属団体の枠を超えて、国際協力NGOの役割向上に寄与してきました。さらに、カンボジアでは、初等教育の推進のため、幼児教育改善に着目して新規事業を開拓するなど、日本とカンボジアの市民同士をつなげる橋渡しを積極的に担っています。
これまでの日本と海外の現場での経験を活かしつつ、国際協力NGOの女性リーダーとして、途上国の経済社会の発展により一層貢献することを期待して、本賞を授与いたします。
◆萩原さんからのメッセージ
NGO新人賞という素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。今回受賞させていただけたのは、日本の皆様のご支援、そして一緒に働く人たちに恵まれたおかげだと思っています。
私は今、カンボジアでの教育支援に携わる機会をいただいています。やるべきことを冷静に考え、地道な活動を一つずつ積み重ねて、より良い事業ができるよう頑張っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(当日、萩原さんはカンボジアのバッタンバン事務所からスカイプ中継でメッセージを贈ってくださいました。)
洪里奈(ほん・りな)さん 特定非営利活動法人コリアNGOセンター 事務局スタッフ
◆授賞理由
洪さんは、学生の時から現代の女性への暴力などの人権問題や在日コリアンの問題に関わってきました。その経験を活かして、現在コリアNGOセンターで、在日コリアンの子どもたちのアイデンティティ育成のための教育実践を行いながら、「南北コリア日本のともだち展」や、過去の強制労働の犠牲になった朝鮮人の遺骨奉還事業など、関西での日本とコリアの歴史・平和に関わる事業の中心的な役割を担ってきました。
持ち前の明るさと問題意識の高さで、こうした問題に関わる人たちをつないできたことは高く評価されます。今後のさらなる飛躍を期待して、本賞を授与いたします。
◆洪さんからのメッセージ
この度はこのような素晴らしい賞をいただきまして、本当にありがとうございます。
受賞に際し、在日コリアンの当事者NGOだからこそ出来る活動やその意義、そして責任を改めて感じております。
まだまだ経験も浅く未熟な私ですが、これまでのコリアNGOセンターに対する評価でもあると受け止め、さらに努力し役割を果たして行きたいです。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。