アーユス賞
第4回アーユスNGO大賞受賞者 本田徹さん
◆授賞理由
一人の医師として、海外であろうと日本国内であろうと等しく患者一人ひとりの生活や人生に寄り添い、その人らしい生き方を支えてきた本田徹さん。30年以上にわたって、東京・山谷で生活困窮者への医療活動や生活支援に携わってきた傍ら、「シェア=国際保健協力市民の会」の代表として、国内外のプライマリヘルスケアの実践を通して草の根の市民の力で社会を変え、全ての人びとが健康になることをめざしてきました。
本田さんと後にアーユスを設立する茂田との出会いは一緒にパレスチナを訪問したことに始まります。本田さんの国際保健協力に取り組む真摯な姿勢や、誰でも分け隔てなく立場の弱い人たちに寄り添う優しさに触れた茂田は、NGOのためのNGOという構想が頭に浮かび、アーユスが誕生するきっかけとなりました。
今日に至るまで、本田さんは厳しい境遇に置かれた人たちの気持ちを大切にしながら、常にその問題の本質と向かい合ってきました。そうした本田さんの揺るがない信念や不条理を何とか変えようと挑む姿勢は、NGO関係者にとどまらず、多くの人たちに感動を与え続けており、NGO活動を志す人たちのお手本となり続けています。
ここに、本田さんの長年にわたる国境を越えたNGO活動の功績を称え、本賞を授与します。
◆本田さんからのメッセージ
私がNGOの活動に参加し、1983年に仲間たちとシェアを始める直接のきっかけとなったのは、何と言っても、当時日本の市民社会の耳目を集めていたカンボジア難民問題でした。これを通して、JVCの星野昌子さんや熊岡路矢さん、元カンボジア大使の故・栗野鳳先生などのご厚誼をいただくこととなりました。
一方、それ以前に、私にとっては、チュニジアへの青年海外協力隊員としての参加があり、現地でアルマ・アタ宣言(1978年)の「洗礼」を受け、プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)を、医師として、また保健NGOの指導原理として掴んだということがありました。またPHCを知ったからこそ、長野県の佐久総合病院で、数年間若月俊一先生に師事するという幸運もいただきました。
<いのち>のサンスクリット語を団体名とするアーユスに、このような栄えある大賞を授与していただいたことは私にとって望外の喜びであり、これを大きな励みとして、シェアや山谷やNGO界全体に少しでも役立つ活動を続けていく所存です。重ねがさね、心より感謝申し上げます。