アーユス賞
第2回アーユスNGO大賞受賞者(2014年度)
井上禮子さん
◆授賞理由
1980年よりアジア太平洋資料センター(PARC)で活動を手始めに、IMFによる構造調整プログラムの問題や途上国の債務と幼児死亡率の関連などを調査しキャンペーンを次々とリードするなど、NGO界の先駆者として注目を集めてきました。1999年にはインドネシア軍による住民虐殺をきっかけに混乱する東ティモールでいち早くプロジェクトを立ち上げ、2008年にはPARCから分かれて民際協力とフェアトレード事業を専門に行うパルシックを設立するなど、その並外れた行動力や先を見通す洞察力はNGO関係者から一目置かれています。アーユスもNGOの組織強化等を支援する活動を井上さんから高く評価されたことで自らが行っている取り組みが間違っていないと自信を持ち、以後NGOとのネットワークをさらに広げることができました。このように、日本のNGO界の第一線で活躍してきた井上さんの長年にわたる活動に敬意を表すると共に、今後ますますの活躍を期待して本賞を授与することになりました。
◆井上さんからのメッセージ
このたび身に余る光栄な賞を頂き、ありがとうございます。何よりも敬愛するアーユスさんの賞であることをありがたく感謝します。私がアーユスを尊敬する理由はいくつもありますが、そのひとつはNGOのためのNGOとして21年間活動されてきた実績です。貧困削減や南北の架け橋となるために活動したいと考え、それを実行するNGOは数多くありますが、そうしたNGOを後ろから支える活動をしようとされる高い志に打たれます。もうひとつはアーユスさんの集まりなどに参加させていただくたびに事務局の方々が細部にいたるまで人を大切にする思いに貫かれていることにいつも心を打たれるのです。この大賞授与式の前日、後藤健二さんが「イスラム国」によって無残に殺害されたという報に接し、この暗いニュースに半ば心を塞がれながら出席された方が多かったと思います。他方で「その罪を償わせる」という安倍総理の発言にも大きな違和感を覚えています。報復の連鎖を上回る大きな、「人を大切にする」人と人の信頼の絆を国家という枠を超えて築いていくことがとっても大事な時代に差し掛かっていると痛感します。アーユスさんとアーユスさんにつながるNGOの一員としてパルシックは国境をこえて人と人の信頼のつながりを結んでいきます。