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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の寺

国際協力の寺2017/12/04

関西地区勉強会「少欲知足」とアジアの開発を考える


紅葉の美しい晩秋の京都。アーユス関西地区の会員やご縁のある皆さんと集まる定例会&勉強会「満ち足りなくったっていいんじゃない?〜アジアの開発から少欲知足を考える」を、11月27日(月)に龍谷大学・清風館にて開催しました。今回はふたつのNGOからゲストをお招きしてお話をうかがうだけでなく、アーユス会員と語る「仏教の教えとNGOの活動のクロストーク」を設定したため、「少欲」を看板にかかげたにもかかわらず欲張りな企画になってしまいました。時間を30分延長し、フロアのNGOや僧職にある方にもご発言いただき、たいへん意義深い時間になりました。

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まず、会員で関西地区の世話人のひとり、中平了悟さん(浄土真宗本願寺派・龍谷大学大学院実践真宗学研究科実習助手)より、今回のテーマ「少欲知足」がどうして選ばれたか、また仏教で言われる「少欲知足」とは何かについてのお話をいただきました。欲はセーブすべき・否定されるべきもの、向上しようとする意欲も執着になってしまうと否定されるべきもの…カンタンですね。しかし、煩悩は一見それとは認識できないもので、正義をかざして怒ったり、幸せを求めて貪欲になってしまったり…ムズカシイ。そうした日常から、煩悩に気づき、当たり前に気づき、その「ちょうどよいところ」を探そうと模索し続けているのが人間。こうしたキーワードは、普段の生活はもちろん、NGOの活動にも照らし合わせて具体的に想像してみると、腑に落ちる点でもあります。

続いて、ゲストの木口由香さん(メコン・ウォッチ事務局長)から、「川と暮らしと開発」と題して、タイやラオスなどメコン河流域の事例をお話しいただきました。メコン流域に暮らす人たちが、いかに川とともに暮らしどんな恵みを得てきたのか、上流域にダムがひとつできるだけでどんな影響を受けるのか、写真ひとつを見るだけでも実感できます。「環境に配慮」「人権に配慮」といった言葉がいわれるようになって久しいのに、メコン・ウォッチがいまも活動を続けなくてはならない現状があります。

波多江秀江さん(FoEJapan)は、駐在されているフィリピンでの鉱山開発の現状をビデオ映像も交えて紹介。会場からは「日本でこれだけ環境に配慮した企業活動が行われているのになぜ」という驚きの声があがりました。公害輸出は過去のものだと思われがちですが、今もそれが続くのは進出先の国のガバナンス・規制が非常に「ゆるい」点があり、その低い基準に甘んじてしまえる。だから、その国・地域の人が自分たちで声をあげられる環境をつくることが、問題解決のために大切なのです。

続くクロストークでは、木口さん、波多江さん、中平さんに、事務局長の枝木も加わりました。ゲストのお二人が現在の活動に関わる動機となったことなども伺いつつ、どんな立ち位置で取り組んでいるか、というところから話がスタート。声の大きい権力の側ではなく、声なき声を拾い弱い立場の側に立つというのが、揺るがないお二人の基本姿勢。ただし、問題が長引いたり新たな課題が出てくると、一緒に歩んでいる「地域の人たち」同士の間に分断が生まれてくる、そこがつらいところだというお話は、長年活動されているからこその実感がこもっていました。大きな問題を克服するには時間もかかりますが、その間に変わってしまう情勢や環境、人の心に柔軟に対応するのがいかに難しいか、ひとつの地域に長くかかわるNGO共通の悩みでもあります。

また「少欲知足」は、欲の満たされた人にこそ響く教えであるとの話もありました。欲を積むことで感じる苦しみを「知っている」人こそ、実践すべき教えだというのです。アジアの開発の現場で、満たされたいと願う地域の人たちに欲を抑えるなとは言えない。だからこそ、外から介入している「既に満たされている人たち」が自分の生活の中で果たす責任はもっと大きいと感じることができました。

しかしNGOが海外で活動するのと同時に、日本での自らの暮らしや社会問題に対してどう行動するか、ということも悩ましい問題です。日本が世界中から資源を集め、世界のどこかの人たちに影響を与えながら暮らしを享受しているのに、他者との関係性について話したり考える暇がない。「思考を止めている」のは、NGOで働く自分たちではないかという思いも、吐露されました。

さらに「『少欲知足』は、自分の思いをコントロールするものではない」との会員さんからのご指摘に、大きな気づきを得た参加者がたくさんいました。欲はダメで捨てるべきものではなく、自分と他者との関係性から調和をとることが肝要、仏教でいう「縁」(関係性)は無視できないものだというのです。たしかに「行き過ぎた開発はダメ!」ではなく、「開発で影響を受けるのは、どんな人、どんな環境、どんな生物なのだろう…」ということを常に考え続けることで、調和をとっていくのがNGOの大きな役割なのでしょう。

参加者の皆さんからは「もっと踏み込んで話したい」「第二弾をお願いします」とのご意見多数。今回は満ち足りなかったかもしれないけれど、このテーマを追求する方向性でいいんだな、と感じる関西勉強会の第一歩となりました。(〒)