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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の寺

国際協力の寺2016/04/26

アーユス合宿@長善寺「難民を知る:いのちと制度」


石井さんレク4月14日・15日、名古屋の長善寺(真宗大谷派)にてアーユスの合宿を行いました。今年度のテーマは「難民」。全国から仏教関係者とNGO関係者あわせて34名が集いました。

今回は、初日に講義、二日目にグループディスカッションを行い、間に「NGOのための仏教ミニ講座」や名古屋のNGOやお寺の活動紹介をはさむ形にしました。

最初のコマは、難民支援協会の常任理事である石井宏明さんによる「難民基礎講座」。単なる概論ではなく、長年の経験に基づいた血の通った説明で、世界情勢や他国の難民政策などとも絡めて日本の状況を話してくださったので、初心者にとっても、ある程度知識のある人にとっても、得るところの大きい講義でした。

基本が頭に入ったところで、JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)の事務局長である佐藤真紀さん(男性です)とアーユスの枝木事務局長によるトーク「中東における難民と支援活動」に移りました。イラク戦争から現在にいたる道筋を現場にいた人にしか分からない視点から話していただき、平和だったころのシリアの様子なども共有してもらいました。

これらの講義/トークは、すべてを文字おこししたいくらいの内容でしたが、印象に残ったことを二つだけ記します。ひとつは「受け入れ先で難民は幸せなのか」という、よくある問いに対する石井さんの考えです。「たとえ幸せになれなくても、逃げなければならないから、逃げている。だから、幸せかどうか問うてはならない」。そんな石井さんの言葉を聞き、「幸せ/不幸せ」という呑気な二項対立にとらわれていた自分を恥ずかしく思いました。

もうひとつ印象に残ったのは、「いのちを救うことに関しては、費用対効果という考えから離れるNGOがあってもいいのではないか」という佐藤さんの言葉です。目の前のひとりを全力で救うのが佐藤さんのやり方です。そして、たとえ経済原理や政治が見放したとしても、たったひとりを見捨てないのが宗教の役割であることを思い起こしました。アーユスはそんなNGOを支援していく団体なのかもしれません。

そして、一日目のトリは大関英康さん(浄土宗西山禅林寺派西光院)による「NGOのための仏教ミニ講座」。法事などで聞く「ありがたい話」とは違うエッジの効いたお話で、NGOの評判も上々でした。話が壮大すぎて終わらなかったので、続きはまた来年になりそうです。

その後の夕食と懇親会は異常な盛り上がりを見せ、朝4時すぎまで話し込んでいたグループもありましたが、翌日の朝食では全員が健康な食欲を見せており、お坊さんとNGOのたくましさを目のあたりにした思いでした。

田口くん&蒲池さん二日目の最初のコマは、名古屋NGOセンターの田口裕晃さんによる活動紹介から始まりました。名古屋NGOセンターでは「NGOスタッフになりたい人のためのコミュニティ・カレッジ(Nたま)」という取り組みを行っており、NGOに優秀な人材を共有しています。東海のNGOの足腰の強さは、こういう取り組みのおかげもあるのかもしれません。

この後を受けて「おてらおやつクラブ」の取り組みについて説明をしてくれたのが、合宿の会場となった長善寺の副住職である蒲池卓巳さん。「おてらおやつクラブ」はお寺のお供え物のお下がりなどを、経済的に困難を抱えているひとり親家庭に届ける活動をしており、蒲池さんはその活動を東海で広げるべく精進されています。アーユスの会員さんには、NGOも顔負けの活動をしている方も多いということを、NGO関係者にも理解してもらえたようです。

二日目の後半は小グループに分かれてディスカッションを行いました。「難民支援協会」の石井さん、「JIM-NET」の佐藤さん、「なんみんフォーラム」の檜山さん、「名古屋難民支援室」の羽田野さんという、実際に支援に関わっている4人の方をリソースパーソンに、それぞれのグループで学びを深めてもらいました。それぞれに、今後につながる糸口を見つけてくれたのではないかと思います。

合宿の収穫はいろいろありましたが、世代も分野も多様でありながら目的を共有している人々が集まることにより、支え合い、学びあえる関係を作れたことは大きかったです。支援者と被支援者という関係を超えて、パートナーへと脱皮していくお手伝いができたのであれば、担当者としてこれ以上の喜びはありません。(三村紀美子)