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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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アーユス賞

第7回アーユスNGO大賞(茂田賞)2020年度受賞者

上村英明さん

授賞式笑って話すIMG_1942 のコピー

◆授賞理由

 国際人権のエキスパートである上村さんは、長年にわたって国連のNGO協議資格を有する人権NGO「市民外交センター」の代表として、アイヌ民族や沖縄・南太平洋の先住民族などの人権問題に取り組んできました。生物多様性や核などの構造的な問題を通して先住民族の権利が奪われてきた実態を明らかにするなど、先見性のある研究や実践は常に注目を集めています。その独特な発想や視点は、アーユスの故茂田眞澄初代理事長を魅了し、アーユスが世界各地の人権問題に関心を寄せるきっかけとなりました。この他、ソーシャル・ジャスティス基金の運営委員長として、市民による民主主義実現のための政策や制度づくりを支援するなど、その活動は分野の枠を超え、グローバルな市民の連帯を実現するための活動にも及んでいます。
 このように、上村さんは先住民族の人権問題を中心に、それに関連する様々な問題を鋭く追究してきた稀有な研究者/活動家として、日本のNGOにとってなくてはならない存在となっています。今後もこうした知見や経験をNGO関係者と広く共有し、伝えていただくことを期待して、NGO大賞(茂田賞)を授与します。


◆上村さんからのメッセージ

 連絡を受けた時、「栄誉ある賞をいただいた」と言った表現が出てこないほどなぜか嬉しかった。私が1982年の市民外交センターの設立以来取り組んできた活動は、「国際協力」の従来の概念では、理解され難い分野であったからだ。40年の活動は、「先住民族(indigenous peoples)」という考え方の日本社会への導入に始まり、その視点でのアイヌ民族や琉球民族の権利回復そして東南アジアや南太平洋地域でのネットワークの形成、また国連を通しての国際人権の新領域の実現に努力してきた。そこでの多様性や歴史認識に関する学びは、私が日本の市民社会・民主主義の「再建」に関わる土台ともなっている。
 その点、「受賞理由」にある「先見性のある研究や実践」、「独特な発想や視点」という評価、その評価に込められた故茂田眞澄初代理事長の温かい視線にも心から感謝したい。また本受賞は「先住民族」という人権主体の「市民化」の重要な機会ともなったことを明記し、感謝の言葉を結びたい。